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ドクター松本の医食同源(69)/インスリン治療の落とし穴

2011年12月23日
 先日、あるテレビ番組で「早くからインスリン治療を行うと糖尿病が治る」といった主旨の内容が放送されました。それ以降、当院に来られる患者さんの中にも「飲み薬からインスリン治療に変えたい」という方が急増しています。果たしてどうなのでしょうか?

そもそも糖尿病とは?

 そもそも糖尿病は血糖を下げるホルモンであるインスリンが不足することに起因します。
 そのインスリンは膵臓(すいぞう)でつくられますが、血糖が上がりすぎると膵臓はダメージを受け、インスリンの分泌は減ってしまいます。
 その結果、血糖値はますます上昇し、さらに膵臓にダメージを与えます。これを「糖毒性」といいます。

ドクター松本の医食同源(69)/インスリン治療の落とし穴
強化インスリン療法

 番組で紹介されていたのは「強化インスリン療法」と呼ばれるもので、早い段階で1日3回毎食前に短時間作用するインスリン注射と1日1回就寝前に長時間作用するインスリン注射を組み合わせれば膵臓の機能が回復し、結果としてインスリン注射は不要になるという内容でした。
 
早い段階からは疑問

 ただ、膵臓でつくられるインスリンは必ずしも早い段階から低下していることはありません。むしろ食べ過ぎや運動不足で上昇した血糖を下げるため必要以上にたくさんつくられます。
 
大切な食事・運動療法

 また、強化インスリン療法で膵臓の機能が回復するのは症状の軽い方に限られ、インスリン分泌が悪化した人には当てはまりません。
 さらにインスリン注射が不要になるといっても糖尿病が完治したわけではなく、食事療法や運動療法を守らなければ簡単にもとの悪い状態に戻ってしまいます。
 
過度の期待は禁物

 番組はインスリン療法の負のイメージを払拭したという点では評価できますが、過度な期待を与えてしまった面もあるようです。


ドクター松本の医食同源(69)/インスリン治療の落とし穴
松本 光生(まつもと・みつお)

1985年山形大学医学部卒業。山形県立中央病院勤務の後、2007年5月に松本内科クリニックを開業。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医。