徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> レイルウェイズ

2011年11月25日
愛を伝えられない大人たちへ

人生は鉄道の旅の如し

 滝島徹は富山地方鉄道の運転士として42年間勤務し、定年を1カ月後に控えていた。

退職後に妻の反乱

 1人娘は嫁ぎ、夫婦2人だけの生活。退職後は夫婦水入らずの旅行でもと考えていたが、妻からは看護師として働きたいと宣言される。独身時代に看護師をしていた妻は結婚・出産を機に離職を余儀なくされたが、復帰への思いは断ちがたかったのだ。徹にとっては青天の霹靂(へきれき)。妻の考えは到底受け入れられず、口論の末に訣別(けつべつ)へ――。

<荒井幸博のシネマつれづれ> レイルウェイズ

主演は三浦友和

 滝島を演じる三浦友和は、70年代は後に妻となる山口百恵とのゴールデンコンビ作品で“二枚目好青年”の役回りだったが、結婚直後は主演俳優としてはやや低迷した感は否めない。だが80年代半ばから相米慎二、大林宣彦監督等の映画に、役の大小に関わらず出演を重ねるようになり、俳優としての幅を広げる。近年は「沈まぬ太陽」「アウトレイジ」などの悪役もサラリとこなしている。
 
適材適所の脇役

 妻・佐和子役の余貴美子は山形ゆかりの「おくりびと」などでもおなじみで、バイプレーヤーとしてなくてはならない存在としてこのところ目覚しい活躍を続けている。三浦と余は以前にも「あ、春」などで夫婦役を演じており、意気はピッタリ。
 他に中尾明慶、岩松了、徳井優、中川家礼二、小池栄子、塚本高史、吉行和子といった適材適所の俳優がしっかりと脇を固めている。
 
人生、まだまだこれから

 登場する人物描写のほか、富山地方鉄道沿線の四季折々の風景の美しさも見所。また50代半ばに差し掛かった自分にとって、米倉斉加年(よねくらまさかね)演じる退職した先輩が語る「定年後の時間はうんと長いぞ」の言葉がズシンと響く。
 「人生、まだまだこれから」と思わせてくれる感動作。


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荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。