徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 伴淳百年祭

2008年4月25日
郷土出身 偉大な喜劇王

 はじめに、前号「あの空をおぼえてる」で、主演の竹野内豊さんの姓を「竹之内」と誤記してしまいました。撮影現場であれほど親切に取材に応じていただいたにもかかわらず、自分自身に腹が立ちます。竹野内さん、ファンの皆さん、申し訳ありませんでした。

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 今月、山形市出身のノンフィクション作家・大山眞人さんが「団地が死んでいく」という本を平凡社新書から出版した。急増している団地での「孤独死」の原因を解明するため団地がたどってきた歴史を振り返り、予防策を講じるという興味深い本だ。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 伴淳百年祭

「喜劇・駅前団地」

 団地と言えば1961年公開の映画「喜劇・駅前団地」が想起される。東京近郊のマンモス団地の隣接地で第二団地の建設話が持ち上がる。そこに移転しようとする人々とそこの地主を描いた喜劇だが、このころに団地生活を始めた若夫婦の未来を「団地が死んでいく」に見ることになるのだ。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 伴淳百年祭

26日、27日に開催

 この作品で地主を演じているのが「伴淳」の愛称で親しまれた米沢市出身の喜劇俳優、故・伴淳三郎さん。今年は伴淳さんの生誕100年に当たり、4月26日と27日の2日間、米沢市市民文化会館で「伴淳百年祭」が開催される。
 初日のオープニングを飾って上映されるのが「駅前団地」。上映後はこの作品にも出演し、伴淳さんと数多く共演している淡路恵子さんをゲストに迎えてのトークショー。そして伴淳さんが性格俳優として開眼した「飢餓海峡」を上映して初日は終わる。

トークも乞うご期待

 2日目は瀬川昌治監督をゲストに迎え、瀬川監督の「喜劇 競馬必勝法一発勝負」と「喜劇 逆転旅行」を上映。「競馬必勝法」は上山競馬場でロケをしているので懐かしい光景が随所に。この2作品の上映の間に瀬川監督のトークショー。2日間を通じてトークの聴き手は私 、荒井が務めさせていただきます。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 伴淳百年祭

感動の「南の島に雪が降る」

 そしてイベントの掉尾(ちょうび)を飾る上映作品が「南の島に雪が降る」。名優の故・加東大介さんが太平洋戦争に出征した実話の映画化で、まさに感動作。
 加東さんが自らを演じ、伴淳さん始め当時の人気喜劇俳優がほぼ総出演。伴淳さんにとっても思い入れの強い作品だったようで、その後、芝居として米沢市民文化会館で上演している。

盛り上がる伴淳ブーム

 伴淳さんの映画祭は97年に東根市で開催した「アジャパー映画祭」があり、これに触発された米沢市民有志が同市で98年と99年に「伴淳映画上映会」を開催したのが濫觴(らんしょう)。その後、2006年に「伴淳の会」が結成されて06年と07年に「伴淳映画会」、そして満を持した今年の「伴淳百年祭」へと続く。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 伴淳百年祭

伴淳さんに浸ろう!

 今では伴淳さんを語れる人は少なくなったが、そんな中で現役バリバリで活躍中の淡路恵子さんと瀬川昌治監督が参加してくれるのは感涙もの。正に百年祭に相応しい。
 イベント期間中の会場ロビーには伴淳さんのポスターなどが飾られ、どっぷりと伴淳さんに浸かれる。郷土が生んだ偉大な喜劇俳優をフィルターにして、時代や、日本の中の山形が透けて見えてくる。そんな映画祭でもあります。