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<荒井幸博のシネマつれづれ> よみがえりのレシピ

2011年10月28日
食と農業の豊かな関係
 この映画は山形県内の在来作物にスポットを当てたドキュメンタリー作品。監督は鶴岡市出身の渡辺智史さん(30歳)。
<荒井幸博のシネマつれづれ> よみがえりのレシピ

山形の在来作物がテーマ

 在来作物とは世代を超えて種苗(しゅびょう)が保存され親しまれてきた農作物だが、生産者の高齢化や、安さと品質の均一性が最優先される昨今の時代にあっては絶滅の危機に瀕している。映画は鶴岡市の老舗漬物店の主人が地元の外内島キュウリを懐かしむシーンから始まる。
 
今や絶滅の危機に

 主人は数少ない生産者を捜し出す。稀少になった在来作物を守り育てるのは生産者にとって容易なことではない。だが生産者を支援する人たちもいる。
 
生産者を支援する人々

 山形大学農学部で在来作物の研究・保存に取り組んでいる江頭宏昌准教授、料理を通じて在来作物のPRに務める奥田政行シェフ…。彼らの見事なコラボレーションを渡辺監督は誠実に追いかける。
 真室川町の甚五右衛門芋や鶴岡市の宝谷カブなどが奥田シェフによって独創的で美味しいイタリア料理に昇華され、それを食べて顔をほころばせる生産者たち。その光景にこちらの顔も思わずほころぶ。
 
全国、世界に発信したい

 在来作物を通じて地域の文化や高度経済成長のひずみ、そして食と農の未来を考えるうえでも秀逸な作品だ。県内はもとより全国、世界に発信して欲しい作品である。
 在来作物生産者に支援者がいたように、渡辺監督にも市民有志から成る製作委員会、1口1万円(企業・団体3万円)の寄付で協力した市民プロデューサーたちがいたことも忘れてはならない。

フォーラムなどで上映

 この映画は山形フォーラムで11月5日~18日、鶴岡まちなかキネマで11月12日~25日に上映されます。


<荒井幸博のシネマつれづれ> よみがえりのレシピ
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。