徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 極道めし

2011年10月14日
日常の食の大切さ訴える

 「ブタがいた教室」「猿ロック」などの話題作を世に送り出している前田哲監督の新作が今月15日から公開される。
 
刑務所内で「争い」が

 年末のとある刑務所の雑居房。「今年もあのイベントをやろう」と牢名主的存在の八さんと古株のミナミが言い出し、元ホストの相田、相撲取りのチャンコも同調する。
 彼らと馴染めずにいた新入り(永岡祐)は、いよいよ自分へのリンチが始まると思い身震いするが、彼らはちゃぶ台を囲んで正座し、くじ引きで順番を決め、一人ずつ語り始めるのだった。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 極道めし

美味しかった料理は?

 それは、過去に食べた中で最も美味しかった料理の話。聞き手に喉(のど)をゴクリと鳴らさせた回数を競い合い、優勝者は年に1度のご馳走、元旦のおせち料理の時、他の受刑者の分からエビ、タイ、数の子、栗きんとんなどを一品ずつもらえる特典が与えられるのだ。
 そんなゲームに熱中する4人を新入りは冷ややかに見て馬鹿にしていたのだが、それぞれのご馳走にまつわる思い出話を聞いているうちに、自分にもある懐かしくも切ない〈めし〉の思い出が蘇(よみが)えるのだった…。
 
前田監督「女性必見」

 女性ならともすれば引いてしまいそうなタイトルだが、前田監督は「女性にこそみて欲しい映画」と力説する。
 「受刑者が語る思い出の料理は母親や恋人など大切な女性が作ったもの。それを自分のせいで食べられなくしてしまう男たちの情けなさ」「家族団らんで食事をするという当たり前のことが一番幸せなことだということを改めて思い起こして欲しい」
 まさにその通り。日ごろの食事へのありがたみを噛(か)みしめさせられる映画です。
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 この映画でフードスタイリストを務めたせんるいのりこさんと前田監督によるトークショーが19日21時からフォーラム山形で開催されます。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 極道めし
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。