徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 探偵はBARにいる

2011年9月23日
続編が観たくなる傑作
 10年ほど前、あきた十文字映画祭の会場で映画監督の鈴井貴之さんにインタビューする機会に恵まれた。
<荒井幸博のシネマつれづれ> 探偵はBARにいる

「水曜どうでしょう」

 当時30代後半の鈴井監督は長身のイケメン。北海道を中心に映画監督のほか放送作家、タレントとマルチな活動を続けており、特に自ら企画、演出、出演し、北海道ほか一部地域で放送していたバラエティ深夜番組「水曜どうでしょう」で全国的人気を獲得していた。
 この番組は残念ながら当時の山形では放送されておらず、話は弾まなかったが、映画祭で鈴井監督が舞台に登場するや観客から大きな歓声が。番組が秋田では放送されていたのに気づき、その人気ぶりにあらためて驚かされたものだ。
 
今が旬の大泉洋

 番組は翌年で終了するが、その後に山形を含め各地で再放送されるようになった。番組で鈴井監督と共演し、秀逸な味を出しているのが鈴井監督が社長を務めるタレント事務所に所属する大泉洋。「千と千尋の神隠し」での番台蛙の声の吹き替えで注目されるようになり、北海道ローカルから一気に全国区に駆け上がった。

松田龍平との息ピタリ
 
 現在公開中の「探偵はBARにいる」は札幌在住のミステリー作家、東直己がデビューから発表し続けている人気シリーズの映画化。主人公の探偵役が大泉。お馴染みの軽妙でユーモラスな演技だけではない幅の広さを見せてくれる。
 やる気がなさそうにボソボソ呟く相棒役の松田龍平との掛け合いは絶妙。危険なスタントも自分たちでこなしている。ススキノを2人が並んで歩く姿に思わず「格好いい」と叫びたくなる。
 
残忍な悪党役は?
 
 人望厚い実業家の西田敏行、謎の美女・小雪もハマリ役。残忍な悪党を演じるあの俳優(今は内緒)にも注目。続編が観たくなる。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 探偵はBARにいる
 
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。