徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「コクリコ坂から」

2011年8月12日
真っすぐな主人公たち

 スタジオジブリ制作のアニメ作品。舞台は1963年の横浜。

横浜の高校を舞台に

 高校2年の女生徒・松崎海は船長だった父を幼い時に亡くし、教員の母が米国に長期留学している間、1人で松崎家を切り盛りしていた。
 そんなある日、海は校内新聞の編集長で、老朽化した一部校舎の取り壊しに反対している3年生の風間俊に出会い、いつしか2人の間に恋が芽生える。だが、あることをきっかけに互いの父親が同一人物、つまり2人は兄妹ではないかという疑問が生まれる――。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「コクリコ坂から」

時代は高度成長期

 東京五輪を翌年に控え高度経済成長に入った時代。新しさが良しとされる風潮に待ったをかけ、自分の意見をきちんと主張する2人の主人公の真っすぐさが心地いい。
 描かれている当時の横浜は活気のある港町。東日本大震災で壊滅状態になった東北の港町に思いを重ねてしまうのは私だけだろうか。

大震災に思いが重なる

 作品の中で効果的に使われているのが坂本九の「上を向いて歩こう」。大震災以降この歌の力が見直されているが、鈴木敏夫プロデューサーによれば「上を向いて歩こう」を挿入歌だけでなく、作品のキャッチコピーに決めたのは昨年12月のことだったという。
 作品では親子2世代の青春も描かれているが、企画・脚本の宮崎駿と監督の宮崎吾朗の関係も重ねたくなる。
 
前を向いて生きよう

 鈴木プロデューサーといえば、彼から山形市高瀬を舞台にした「おもひでぽろぽろ」の企画を聞かされ、山形ロケを手伝わせてもらったことが昨日のことのように思い出される。あれから早や20年の歳月が流れた。
 「おもひでぽろぽろ」「コクリコ坂から」の2作品に共通する鈴木さんのメッセージは「後悔することなく、前を向いて生きよう」なのだ。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 「コクリコ坂から」
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。