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村田先生の消化器系のお話スペシャル/食中毒について

2011年5月27日
 ユッケの食中毒事件を「対岸の火事」と思っていたら、山形市でも地元の会社が製造した団子による集団食中毒事件が発生しました。

そもそも食中毒とは?

 そもそも食中毒とは何なのでしょうか? 正確に定義すれば「有害な微生物(細菌やウイルス)、化学物質などを含む食品を摂取したために起こる下痢・嘔吐・発熱などを伴う中毒の総称」です。この定義に従えばフグの毒や毒キノコにあたった症状も食中毒です。

村田先生の消化器系のお話スペシャル/食中毒について

腸管出血性大腸菌とは?

 ユッケ事件、団子事件の原因となった細菌はいずれも「腸管出血性大腸菌」と呼ばれるもので、このうち前者は「O111」、後者は「O157」と呼ばれる細菌です。
 腸管出血性大腸菌はそもそもは牛などの腸管に存在しています。この菌に汚染された食べ物を摂取すると、他の食中毒の原因菌より少ない50個〜100個の菌で感染→食中毒を発症します。

死を呼ぶ極悪菌

 感染すると腸の中でベロ毒素を産生し、これが腸管粘膜を傷害すると下血になり、血管内に入ると全身に影響を与えるようになります。腎臓では溶血性尿毒症症候群、脳では急性脳症を起こすことがあり、どちらの場合も最悪の場合は死に至る危険性があります。
 
生の牛肉はNG
 
 腸管出血性大腸菌は熱に弱いので、予防には生の牛肉は食べないことが1番です。ユッケはもちろん、生レバーなども「君子危うきに近寄らず」の姿勢で臨まれることをお勧めします。

村田先生の消化器系のお話スペシャル/食中毒について

サルモネラ菌とは?
 
 腸管出血性大腸菌のほか、細菌性食中毒で頻度の高いのがサルモネラ菌と腸炎ビブリオ菌を原因とするケースです。
 サルモネラ菌は鶏、豚、牛の腸管に多く存在します。これらの生肉を食べると感染しやすいほか、生卵を食べても感染することがあります。
 
高熱が特徴

 以前は10万個以上で発症するとされましたが、最近になり1000個前後でも発症することが分かってきました。症状は下痢や嘔吐などに加え、38〜40度の高熱が出るのが特徴です。
 
卵は冷蔵庫に保管して

 時期は5〜10月に多くピークは8月です。予防には生の肉を避けるほか、生で食べる卵は冷蔵庫で保管し、期限内に食べるようにしましょう。

腸炎ビブリオ菌とは?

 腸炎ビブリオ菌は海水や砂の中に存在し、海水温が高くなる夏場に増殖しやすくなります。腸炎ビブリオ菌で汚染された生の魚介類を食べると発症するほか、汚染された生の魚介類を調理した器具を介して感染することもあります。
 
夏場に集中します

 生の魚介類が原因なので先進諸外国に比べ日本での発生が多い食中毒です。通常、発症までは10〜24時間ですが、2〜3時間というケースもあります。発症時期は7〜9月に集中します。 

よく洗うことが肝要

 予防には魚介類を生で食べる場合は真水でよく洗うこと、魚介類を調理した器具も真水でよく洗うこと、魚介類を保存する時には冷蔵庫で保存することが肝要です。


村田先生の消化器系のお話スペシャル/食中毒について
村田 光太郎(むらた・こうたろう)

1963年上山市生まれ。山形東高から山形大医学部へ。卒業後、山大病院、東北中央病院、県立中央病院、寒河江市立病院などを経て2009年4月に山形市十日町で村田内科医院を開院。