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山形丸魚(天童市)

2007年3月9日
価値追求型の総合流通業
山形丸魚(天童市)

 「山形丸魚」は山形を代表する食品卸会社だ。知らない人は社名から判断して「大きな魚屋さん?」くらいのイメージかもしれないが、魚はもちろん、冷凍・冷蔵食品、即席めんに至るまで幅広く取り扱う総合食品流通会社なのだ。年商は300億円近くに達し、この分野でのトップ企業であることはもちろん、県内指折りのエクセレント・カンパニーといえる。



配給統制組合が前身

 同社の創業は1942年(昭和17年)。前年に太平洋戦争が勃発したことに伴い国家統制令が敷かれ、それまで水産物を扱っていた県内の個人商店が合同で「山形県海産物配給統制組合」を設立した。この配給統制組合が同社の前身で、戦争終結で組織は解散したが、絆を強めた最上、村山、置賜の10商店が新たに「山形県海産物荷受販売組合」を設立、53年(昭和28年)「株式会社山形丸魚」に改組して現在に至っている。
 この間、本社は本町、鉄砲町、流通センターと変わり、2002年に天童市高擶に移転した。本社移転の歴史は同社が水産物卸から総合食品流通会社に脱皮していく変遷を如実に示していて興味深い。

本社に物流センター併設

 特に高擶の約4万平方メートルの敷地に建設した現在の本社は最新鋭の物流センターを併設しており、産地やメーカーから運ばれる水産物や加工食品などを県内全域のスーパーや営業所に配送する中継拠点の役割を担う。
 同社の取扱構成は3分の2が水産物、3分の1が加工食品という色分け。水産物も産地や商社から仕入れる鮮魚や冷蔵・冷凍品、塩干品をスーパーなどに「右から左へ」卸すだけではなく、可能な限り付加価値を追求する姿勢がうかがえる。それを端的に現しているのが生マグロを対象にしたHACCP(ハセップ)の認証取得だ。

生マグロでHACCP

 HACCPとは危険度分析による衛生管理手法のこと。生マグロを解体してサクや切り身に加工していく各工程での危害を分析し、ポイントとなる工程を重点的に監視することで食中毒などを防止するシステムを楯岡工場で構築した。認証取得は2003年で、生マグロを対象にしたHACCPは当時としては国内初だったという。
 矢野秀弥社長によれば、生マグロは寿司ネタの中でも最も鮮度の良し悪しがわかる商材。その生マグロでHACCPの認証取得というお墨付きを得たことで、生マグロにとどまらず他の水産物でも同社の品質管理に対する信頼感は高まっているという。

環境保護にも取り組み

 一方で地球環境への負荷軽減にも取り組んでおり、2006年には国際標準化機構(ISO)が定める「ISO14001」の認証も取得している。HACCPとも併せ、一般的には前近代的なイメージが残る水産物卸を母体にした企業の中では出色の存在といえるだろう。

山形丸魚(天童市)
商品はバーコード管理

 水産物以外の加工食品は物流センターの設備に触れながら紹介しよう。物流センターは摂氏マイナス55度の超低温帯、マイナス30度の冷凍(フローズン)帯、0度の冷蔵(チルド)帯、常温帯の全温度帯に対応できる。これにより冷凍マグロなどの水産物はもちろん、冷凍・冷蔵食品や日配品の集配基地としての機能を備えた。
 センターは5000種類に及ぶ商品をバーコードで管理し、傾斜のついたローラー式の搬送設備で仕分けしていく。また県内スーパー最大手の全店舗向けに加工食品の分類、積み込みなどの庫内作業をここで請け負う。省力化したスペースの中で流れ作業によって山形の「食」が搬出入されていく光景は圧巻だ。

利益率向上が課題

 そんな同社にとっても、課題は利益率の向上だ。2006年3月期の総資本経常利益率(ROA)は1.08%と決して高くはない。ROAの低さは同業他社にも共通にいえることだが、とかく膨らみがちな販売管理費を抑え、販売する商品の付加価値をどれだけ高めていけるかが今後のカギを握る。同社は中期計画で3年以内のROA3%達成を掲げており、今後に注目していきたい。

■株式会社山形丸魚
・社長   矢野秀弥 氏
・所在地  天童市高擶1453‐1
・設立   1953年
・資本金  1億円
・売上高  289億9536万3千円(06年3月期)
・従業員  240人(06年3月末現在)
・事業内容 生鮮水産物および加工品、一般加工食品、飲料、瓶缶詰、調味料などの卸売業