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田宮印刷株式会社(山形市)

2007年1月12日
技術レベルで先頭集団
田宮印刷株式会社(山形市)

 田宮印刷は間もなく創業100周年を迎える伝統ある企業だ。販売促進用チラシから百科事典まで多彩な印刷物をこなし、売上高も30億円を超える。山形を代表する印刷企業のひとつといえるだろう。

平成15年に最新設備導入

 同社の創業は明治43年で、「最上ぞうり」を発案して河北町谷地の産業振興に尽力した田宮五郎氏を始祖とする。昭和20年に山形市中心部に工場進出し、昭和43年に印刷と製版工程を山形市郊外の立谷川工業団地に移転して広大なスペースと効率的作業空間を確保した。その後、全部門を立谷川に集約し、平成15 年には最新の印刷設備を有する工場も新設している。

ISOも相次ぎ取得

 現在は非同族会社で、現社長の工藤裕史氏が「社会貢献、顧客満足、社員満足」の3本柱を経営理念として掲げ、平成16年に「ISO9001」、平成17年に「ISO14001」の認証を取得している。
 筆者がこれまでに訪問した他地域の同業各社と比べて、理にかなった経営戦略、オーソドックスなマネジメント手法を着実に採用している印象だ。工藤社長は確固としたビジョンに基づく経営を進めており、印刷分野の市場や技術の将来像についても明確なイメージを描いている。
 同社の強みは、プリプレス(印刷前)、プレス(印刷)、ポストプレス(印刷後)の各工程を統合的に保有している点に加え、大手企業に比べて身軽さを持ち合わせている点が指摘できる。筆者が拝見した限りでは業界トップクラスの技術レベルだ。

印刷業界には逆風も

 印刷業界は過去に活版印刷からオフセット印刷への転換、プリプレス工程の電子化(DTP化)などを経験してきたが、同社はそれらへの対応にも怠りがなかった。歴代の経営者が中長期ビジョンを持ち、生き残るための基盤を整備してきたことがうかがわれる。
 ただ印刷需要は地域性が強く、地方では人口減少や公的予算の削減といった逆風が続いている。パソコン印刷技術の向上で印刷のプロの仕事が減る部分があるのも不安要因だ。このため技術革新に追随するための投資は欠かせない。
 同社は昭和62年にMACを導入し、その後、プリプレス部門に投資を重ねて設備を充実させてきた。顧客への統合的な対応と高品質な仕事をこなす基礎は確立されている。問題は需要が飽和する中で、いかに企業として存立分野を確保するかである。
 筆者の知る農業資材系企業A社は、飽和市場の中で各地域の同業者と合併して商機を拡げている。成熟市場にあっては同業者間での連携や吸収合併という選択肢に注目が集まりやすい。

顧客との関係強化がカギ

 同社は社内の部門間連携に投資し続けてきたが、先進的製造企業が既に行っているように、重要顧客との企業間連携強化も今後の選択肢のひとつかもしれない。
 その際には顧客のビジネスプロセスや情報システムの理解に加えて、顧客との接点になる営業部門の機能強化が求められる。
 顧客との接点において、保有技術全体を熟知する事業企画人材を揃え、印刷需要を早期につかみ、仕様・コスト・価格を源流管理していく。これが成熟市場における収益管理の基本となると思われる。

■田宮印刷株式会社
・社長   工藤裕史 氏
・所在地  山形市立谷川3‐1410‐1
・設立   1945年
・資本金  8000万円
・売上高  33億円
・従業員  160人
・事業内容 総合印刷