徹底して山形に密着したフリーペーパー

エムテックスマツムラ株式会社

2006年10月13日
 エムテックスマツムラは山形県を代表するモノづくり企業だ。同社の歴史をたどっていけば、それはそのまま山形における電気機械産業の歩みと軌を一にする。
エムテックスマツムラ株式会社

県内電気機械メーカーの草分け

 若い人はご存じないかもしれないが、山形は実は人造繊維の発祥の地なのだ。山形大学工学部の前身、米沢高等工業に赴任してきた秦逸三教授が大正時代の初頭に日本で初めて人造絹糸(レーヨン)の製造に成功、帝人の前身である帝国人造絹絲が大正7年に米沢市で産声をあげた。

エムテックスマツムラ株式会社
   これ以後、技術や企業の集積が進み、ミシンの製造メーカーやミシン部品のメーカが県内に広がっていった。エムテックスマツムラも昭和20年、ミシン部品製造を目的に創立されている。
 産業構造の変化に伴い県内の繊維関連企業も事業を高度化させていったのが山形の電気機械産業の歴史だ。同社も昭和35年に自動車部品に進出、同45年には電子部品に進出し、現在まで発展を続けている。

全自動麻雀卓で全国トップシェア!!
 
 本紙の吉村編集長に同社を訪問したと話したところ、「全自動マージャン卓を日本で初めて開発した会社だよね。確か今でもシェアは国内最大のはず。マージャンの本場・中国にも輸出したことがあるらしいよ」とのリアクションがすぐさま返ってきた。

エムテックスマツムラ株式会社
 いわば隠れた全国区企業なのだ。消費財まで手がけているということは、「その気になれば何でも作ることが出来る企業」であることの証とも言えるだろう。

眼底診断装置の製造・販売に意欲
 
 山形大学と共同で眼底検査用の医療装置も手がけている。この医療装置はOCT(光干渉断層画像化法)という技術に基づいている。OCTとは簡単に言うと、X線ではなく反射光を利用して人体の内部を見ることができる技術。この技術を眼底診断に応用すれば、眼球に触れることなく網膜はく離や浮腫などを診断できる。
 日本でこの技術を確立したのが山形大学の丹野直弘教授なのだ。装置の実用化は1990年代の国内における産学連携の数少ない成功事例と言われている。私も山形への赴任が決まる以前からこの産学連携事業は耳にしていた。

エムテックスマツムラ株式会社

産学連携で実績積む

 また、これを契機として薬事法の承認を受けるなど、医療装置分野の管理体制を確立している。大学技術の活用を通じて新分野進出の足がかりをつかむあたり、実にしっかりとした長期ビジョンを持っていると感じた。
 同社の現在の主力事業は電子部品と自動車部品の二本柱である。
 電子部品事業はICの後工程がメーンであり、自動車部品事業は精密な旋盤加工に強みがある。

製造装置を内製化、一部外販も

 驚くべきことに、両事業とも金型にとどまらず製造設備の大半を自社で開発しており、一部の製造設備は外販までしている。
 私は全国の技術系優良企業の多くに足を運んでいるが、簡単には工場をみせてくれないケースが少なくない。工場見学を断る優良企業は、たいてい内製設備や自製材料を持っており、そこに差別化の源泉になるノウハウが詰め込まれているからだ。
 顧客との守秘義務もあり、同社の主力事業には非公開の部分が当然ある。そのため広く外販されている全自動マージャン卓事業のイメージが、一般には強くなっている面もあるだろう。
 私の印象としては、これだけ多彩な製造技術を内部化している中堅企業は全国的に少ない。さながら「社内産業クラスター」という趣だ。

技術・ニーズの先取りがカギ

 技術者も中間管理職も育っており、県内企業のお手本となる存在と言える。あえて課題を探るとすれば、技術革新が日進月歩の半導体産業と自動車産業を向こうにまわし、技術と市場の変化にどう俊敏に対応し続けていくことができるかにつきるだろう。

■エムテックスマツムラ株式会社
・社長 松村英一氏
・所在地 天童市北久野本1‐7‐43
・創立 1945年
・資本金 4億4965万円
・売上高 147億6500万円
・従業員 646人
・事業内容 半導体デバイス・半導体製造装置の製造、全自動マージャン卓の製造