徹底して山形に密着したフリーペーパー

もう怖くない認知症/認知症の薬物療法(1)

2010年4月9日
 現在、わが国においては治療を目的として認知症患者に様々な薬剤が用いられています。

危険な抗精神病薬

 そうした薬剤の中でも「抗精神病薬」と呼ばれるものを高齢者の患者に用いるのは大変危険です。もともと統合失調症をターゲットにした抗精神病薬は外科の手術にもまさるとも劣らない劇薬なのです。

もう怖くない認知症/認知症の薬物療法(1)

米国では未承認

 米国では食品医薬品局(FDA)が高齢の認知症患者に抗精神病薬を使用すれば死亡リスクを上昇させる恐れがあり、認知症に関連した精神症状の治療薬としては承認できないことを勧告しています。医療従事者は他の方法を検討することが求められているのです。
 
別名は「神経遮断薬」

 抗精神病薬は精神機能だけでなく、脳内の重要な神経伝達物質の働きを著しく抑えることから別名「神経遮断(しゃだん)薬」とも呼ばれています。古典的な定型抗精神病薬と近年比較的新しく作られた非定型抗精神病薬の2タイプがありますが、どちらも高齢者にとってはその危険性には大差がないと考えられます。
 また鎮静作用が強力なことからメジャートランキライザーと呼ばれることもあります。
 
あくまで非薬物療法を

 これまでに繰り返し述べてきましたように、認知症患者さんの症状を緩和するのは精神活動を抑えるこうした危険な薬物療法ではなく、大脳辺縁系に良い刺激を与える人為的な暖かな関わり方に勝るものはないと思います。
 認知症患者にはあくまで非薬物療法を主体にするべきというのが私どもの考えです。


もう怖くない認知症/認知症の薬物療法(1)
藤井 昌彦(ふじい・まさひこ)
1983年弘前大学医学部卒業。山形県立河北病院などに勤務後、99年に医療法人東北医療福祉会理事長。日本老年医学会、日本認知症ケア学会に所属。東北大学医学部臨床教授も務める。