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もう怖くない認知症/「感動療法」のススメ(4)

2010年3月12日
 今回は「食べること」と認知症との関係について考えてみましょう。

患者にとり「食」とは?

 親しい家族や気の置けない友人となごやかな雰囲気の中で食事をするといつもよりおいしく感じることがあると思います。また、料理に施されたちょっとした工夫に気がついた時など、嬉しくなっておいしさが倍増することも経験されていることでしょう。こうした「食」を介した大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)への良い刺激は認知症患者にどう影響するのでしょうか。

もう怖くない認知症/「感動療法」のススメ(4)

喜ばれる「行事食」

 私どもの病院ではお正月やお花見などのイベントをとらえて「行事食」と呼ばれる特別なメニューを提供しています。普段は食べ残すことが多い患者さんもこの時は喜んで全部食べてくれる人がほとんどです。どうしてなのでしょうか?
 
ちょっとした気配りで

 献立を見ると普段とさほど違いはないのですが、おかずに少しだけ桜の花びらを添えたり、盛り付けに竹の器を使ったりと、味覚というより食事の雰囲気を普段と変えていることが良い効果につながっているようなのです。昔から馴染みのある季節感あふれる食事が患者さんに喜ばれるのでしょう。
 
「栄養」より「楽しさ」

 楽しい食事を演出してあげることは大脳辺縁系に良い刺激を入れるうえでとても重要なことだと思います。どうも食事というとカロリーがどうの塩分や脂質がどうのといった論議ばかりが先行しがちですが、こと認知症患者さんに対しては目で味わい、笑顔で楽しく食事をいただく工夫の方が栄養に優る大切な観点と思います。


もう怖くない認知症/「感動療法」のススメ(4)
藤井 昌彦(ふじい・まさひこ)
秋田県能代市生まれ。1983年弘前大学医学部卒業。山形県立河北病院などに勤務後、99年に医療法人東北医療福祉会理事長。日本老年医学会、日本認知症ケア学会に所属。東北大学医学部臨床教授も務める。