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<荒井幸博のシネマつれづれ> 花のあと

2010年3月12日
北川景子が満開

 以登(いと)は海坂藩組頭の一人娘。子どもの時から剣を学び今では男も敵わないほどの腕前。ある日、満開の桜の下で下級武士ながら海坂藩随一の剣の使い手、江口孫四郎と出会う。後日、自ら望んで孫四郎と竹刀を交える。打ち込むうちに恋心を抱く自分に気が付くが、以登には片桐才助という許婚(いいなずけ)がいた。
 数カ月後、孫四郎が藩の任務で失態を犯し自害したという悲報が届く。真相は藩の重役の卑劣な陰謀にはまったことが判明、以登は孫四郎の無念を晴らすべく剣を執る——。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 花のあと

原作は藤沢周平

 原作はおなじみの藤沢周平。以登を演じる北川景子が素晴らしい。彼女は17歳の時「美少女戦士セーラームーン」でテレビデビュー、20歳の時「間宮兄弟」で映画デビューを果たし、2年前には「期待の女優ランキング」で1位になる。ただ「花のあと」の主演に決まった時、大方の見方は「売れっ子とはいえ藤沢ワールドのヒロインは?」。彼女自身、自分は運に恵まれただけで実力が伴っていないと自覚していたという。
 
アイドルから女優へ

 そんな彼女は撮影に入る半年前から時代劇の所作、茶道、殺陣(たて)をみっちり学び去年3月末からのクランクインに臨む。
 映画への強い情熱を抱くプロ集団「花のあと」撮影陣のなかで彼女は演技に開眼、女優として確実に成長していった。実際、「今では北川景子が少し好きになってきた」とブログで告白しているほど。彼女の自信がスクリーンに横溢(おういつ)し、以登が北川景子で良かったと思わせてくれる。

男優陣も好演

 才助役の甲本雅裕は口跡の良いセリフまわしとシュレックを思わせる人懐っこい笑顔が印象的。孫四郎を演じた宮尾俊太郎はバレリーナとして培った凛(りん)とした佇まい、透明感がいい。
 映画のロケに使われた鶴岡公園、桜満開の時期に以登のように歩いてみませんか?


<荒井幸博のシネマつれづれ> 花のあと
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。