徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> ゴールデンスランバー

2010年2月12日
仙台舞台の伊坂ワールド

 「逃げろ! (ケネディ米大統領を暗殺したとされる)オズワルドにされるぞ!」。
 
首相暗殺の嫌疑が!

 宅配便ドライバーの青柳は久しぶりに再会した友人の森田からそう告げられる。次の瞬間、近くの大通りをパレードしていた総理大臣が爆殺される。青柳に真っ直ぐ向かってくる警官たち。逃げるしかないが、逃げ回っている間も青柳の知らない証拠映像が次々にマスコミによって報道されていく。巨大な力で首相暗殺犯に仕立て上げられた青柳の運命は——。

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人気の伊坂幸太郎作品

 原作は伊坂幸太郎の同名小説で、2008年の本屋大賞と山本周五郎賞に輝いた作品。伊坂は東北大を出て仙台で執筆活動している38歳の俊英で、東北芸工大で教鞭を執る前田哲監督「陽気なギャングが地球を回す」(06年)を皮切りに7作品が映画化されていることからも人気が伺える。
 
オール仙台ロケ

 仙台が舞台の作品が多く、本作もそうでロケはオール仙台。最初の待ち合わせがフォーラス前、パレードが定禅寺通り。このほか広瀬川、勾当台公園、藤崎なども登場するので山形っ子も親近感を抱くはずだ。
 
庄内に貢献した藤沢作品

 地域に根ざした作品の映画化といえば、02年の「たそがれ清兵衛」から今年の「花のあと」「必死剣鳥刺し」まで7作品がある鶴岡市出身の藤沢周平作品が有名。藤沢作品の映画化では庄内ロケが相次ぎ、庄内映画村という全国でも稀有な撮影所も誕生した。

出よ! 山形の俊英!

 山形市では05年に山形フィルムコミッションが設立され、テレビで山形が紹介されたり山形ロケが行われるケースが増えているが、映画となると08年の「桜の園」があるくらいで淋しい。出でよ! 現代の藤沢周平、山形の伊坂幸太郎!

 

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荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。