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村田先生の消化器系のお話/ピロリ菌をご存知ですか?

2010年1月22日
 皆さんはピロリ菌をご存知ですか? 正体を先に明かせば、胃の中に生息して胃潰瘍や胃がんの原因になる厄介者です。

2転3転した「存在」

 19世紀後半から胃の中に細菌がいるようだという報告がなされ、いろいろな方面から研究されましたが、1954年に著明な学者がその存在を否定したことでいったんは収まりました。胃の中には強酸性の胃液があって細菌は生息できないと思われていたのです。
 ところが83年になってオーストラリアの2人の学者によって胃の中の細菌の存在が証明され、ピロリ菌と名付けられました。2人はその功績で後にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

村田先生の消化器系のお話/ピロリ菌をご存知ですか?

感染経路の多くが経口

 ピロリ菌の感染経路ははっきりとは解明されていませんが、衛生状態の悪い発展途上国で感染率が高く、先進国では低いことから口を介した経口感染が多いとされます。
 
胃がんの明確な原因に

 ピロリ菌に感染すると急性胃炎や下痢を起こしますが、それが治ってもピロリ菌は胃の中に残ります。そして胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎の原因になります。炎症が長期に及ぶと胃がんが発生する危険性が高くなります。細菌の中でがんの原因となることが明らかになっているのはピロリ菌だけです。
 
胃酸分泌抑制薬で除菌

 ピロリ菌がいるかどうかは胃カメラを使って検査したり、採血して血液中のピロリ菌に対する抗体を調べたりすれば分かります。ピロリ菌を胃から除くには胃酸の分泌を抑える薬1種と抗生物質2種を1週間内服することで70〜80%可能です。除菌できれば胃潰瘍になる危険性が低くなり、胃がんにもなりにくくなります。

 

村田先生の消化器系のお話/ピロリ菌をご存知ですか?
村田 光太郎(むらた・こうたろう)
1963年上山市生まれ。山形東高から山形大医学部へ。卒業後、山大病院、東北中央病院、県立中央病院、寒河江市立病院などを経て2009年4月に山形市十日町で村田内科医院を開院。