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<荒井幸博のシネマつれづれ> オーシャンズ

2010年1月22日
神秘の海に迫る映像
 
<荒井幸博のシネマつれづれ> オーシャンズ

 地球の表面積の70%を占め、すべての生命の源泉とされながら未だに謎に包まれた海。この映画はその神秘の海に最大限に迫ろうと、最新の映像技術を駆使して人類が対峙した渾身のドキュメンタリーだ。

人類が海に迫る

 イルカが競泳のバタフライのように猛スピードで海中に入っては飛び出す。あたかも海の上のレールをカメラがイルカと同じスピードで走って撮影していると思わせるほどの迫力だ。
 イルカが狙うのはイワシやアジの小魚が形成する巨大な球体。空からその球体を目指して垂直に急降下してくるのはカツオドリ。海面が近づくにつれて羽根を畳む様はさながら水泳の飛込競技を思わせる。

<荒井幸博のシネマつれづれ> オーシャンズ

多彩な「出演者」たち
 
 海底で繰り広げられるシャコとカニの対決は剣豪同士の決闘のようで、ピンと張り詰めた両者にらみ合いのなか、一瞬の必殺技が相手を制する。
 このほか、油断していたアシカを瞬時に餌食にするシャチ。何万匹にも大量発生したクモガ二が海底でサッカー場ほどの広さを埋め尽くしうごめく異常な光景。

環境への警鐘も  

 海に棲息する生物の営みが活き活きとスクリーンに映し出される。乱獲や地球温暖化、汚染などを声高には叫んでいないが、イグアナ越しにロケットが打ち上げられる冒頭のシーンが人類に警鐘を鳴らしているように感じたのは私だけだろうか。
 監督はフランスのベテラン俳優で制作力にも評価が高いジャック・ぺラン。共同監督のジャック・クルーゾーとともに斬新な撮影システムを開発し、構想10年、撮影期間4年をかけて完成させた。ドキュメンタリーでありながらエンターテイメントとしても楽しめる秀逸な映画だ。


<荒井幸博のシネマつれづれ> オーシャンズ
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。