徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 今度は愛妻家

2010年1月8日
心地よく騙(だま)される映画
<荒井幸博のシネマつれづれ> 今度は愛妻家
 「これからはお前の言うことを何でも聞く。浮気もやめるし、子どもも作る。だからずっとそばにいてくれ」。かつては売れっ子写真家だった北見俊介は仕事もせずに若い女の尻ばかり追いかけている。そんな俊介が10年連れ添った妻さくらから三行半(みくだりはん)を突きつけられた時の言葉だ。

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行定勲監督作品

 2002年に初演された同名の大ヒット舞台を行定勲監督が映画化。先月、キャンペーンで山形を訪れた行定監督にインタビューした際、私が開口一番「心地よく騙(だま)されました」と言うと、監督は「そう?  それは嬉しいね」と返してくれた。ネタバレになるので何故そんな会話になったのかは明かせないが、監督は2度、3度とこの映画を繰り返して観る人を想定して演出したという。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 今度は愛妻家

石橋蓮司が出色  

 ダメ亭主の俊介は豊川悦司、健気なさくらは薬師丸ひろ子。他にアシスタントカメラマン濱田岳、女優志望の若い女・水川あさみ、井川遥らが脇を固めるが、特筆すべきは石橋蓮司で、強面のイメージを覆して意外な味を出してくれている。
 エンディングに流れる「赤い目のクラウン」は行定監督が親交のある井上陽水に依頼して書き下ろしてもらったとか。観終わった後も監督が言うように繰り返し観たくなり、後でジワ〜と涙が溢れる大人の映画だ。
 
2月公開「パレード」

 行定監督は2005年から開催されている「山形国際ムービーフェスティバル」に毎回参加し、2006年には山形市を舞台にした「ユビサキから世界を」を撮るなど山形とは縁が深い。
 2月には行定監督の「パレード」も立て続けに公開される。「今度は愛妻家」と同時期に脚本を作り、1軒のリビングルームが舞台になるロケーション割り、手法、スケジュールはほぼ同じ。切り口は逆とのことなので観比べて欲しい。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 今度は愛妻家
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。