徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> カールじいさんの空飛ぶ家

2009年12月25日
血湧き肉踊る冒険活劇
<荒井幸博のシネマつれづれ> カールじいさんの空飛ぶ家

炊き出し報告から

 前々号でお知らせしたように12月5日、山形農協とあぐりん山形の方々と一緒に東京のスタジオジブリに「山形のうまいもの炊き出し」に行ってきました。
 ジブリでは約100人のスタッフに芋煮、つや姫のおにぎり、青菜漬け、赤カブ漬けなどを振舞い、どれも大好評。つや姫がよほど美味しかったのか、おにぎりを8個もほおばる人も。宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサーも舌鼓を打ってくれ、山形の食が新作を鋭意制作中のジブリスタッフの英気を養ったかと思うと嬉しかったです。

<荒井幸博のシネマつれづれ> カールじいさんの空飛ぶ家

P・ドクター監督作品

 鈴木プロデューサーが「宮崎駿監督の正当な後継者」と太鼓判を押すピート・ドクター監督の「カールじいさんの空飛ぶ家」がただいま公開中です。
 冒険に憧れる少年カールは同じく冒険好きのエリーと出会い、意気投合する。成人した2人は結婚し、いつか「伝説の滝」とされる南米のパラダイス滝にいこうと約束する。2人は夢の実現を目指して貯金に励むのだが、日常の暮らしの中で取り崩さざるを得ない出来事に何度も見舞われてしまう。
 それから幾星霜(いくせいそう)——。エリーは病に倒れて先立ち、カールじいさんは寂しい一人暮らしを送っていた。老人ホームに強制入所させられそうになるが、風船売りを長くしていた知識を駆使してエリーとの思い出が詰まった家を空飛ぶマシンに改良し、偶然知り合ったラッセルという少年と一緒にパラダイス滝を目指して旅に出る。 

<荒井幸博のシネマつれづれ> カールじいさんの空飛ぶ家

感動・感涙の夫婦愛

 子ども時代のカールとエリーの出会いから恋愛、結婚、そしてエリーの死までの2人の70年余りを映像と音楽だけで描いている場面にも感動、感涙する。何より2人の何気ない日常こそが無上の喜びに満ち溢れていて至福の夫婦生活だったことがよく判る。
 また、頑固で偏屈そうな四角い顔に黒縁メガネのカールじいさんと、まん丸の顔と体のラッセル少年の会話のオモシロさ、そして2人の変化・成長にもご注目いただきたい。
 
目を見張る場面の連続

 パラダイス滝への旅は普通の家を空の旅に誘う無数の風船のカラフルさ、切り立つ崖の険しさ、上空から俯瞰する雄大な風景など、目を見張る場面の連続だ。
 後半は「地獄の黙示録」のカーツ大佐を彷彿させる老冒険家マンツ、その手下の犬たち、鮮やかな色彩の怪鳥ケビンなどが登場し、まさに血湧き肉躍る冒険活劇の様相を呈する。



<荒井幸博のシネマつれづれ> カールじいさんの空飛ぶ家
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。