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もう怖くない認知症/患者の脳に良い刺激を

2009年11月13日
 身近に認知症の患者さんがいる方は、患者さんがとる思わぬ行動に困惑しがちです。夜になると落ち着きをなくして徘徊したり、お金を取られたと思い込んで怒ったり、さっき食事をとったばかりなのにまたご飯を食べると言い出したり…。

不安は見抜かれます!

 その度に「どうしてこんなことをするのか」と不安を感じがちですが、この不安はいくら平然を装っても患者さんはすぐに察知します。ひとたび患者さんが相手から不安がられていると感じると行動をますますエスカレートさせてしまいます。なぜなのでしょう?

もう怖くない認知症/患者の脳に良い刺激を

患者の神経、感情は鋭く

 人間の脳には「新皮質」と呼ばれ判断や知能をつかさどる新しい脳と、「旧皮質」と呼ばれ原始的な情動などをつかさどる大脳辺縁系などの古い脳があります。認知症の患者さんは確かに新しい脳の働きは弱っていますが、逆にこうした古い脳は新皮質からの抑制がなく、その働きが鋭くなっているのではないかと考えられます。
 つまり私たち以上にまわりの気配や雰囲気に鋭敏になっているのです。ですから、いくら私たちが自分の感情を取り繕っても患者さんに悟られないようにするのは困難になります。
 
理解すれば良い関係に

 逆に言えば、こうしたメカニズムを熟知すれば患者さんとよりよく関わることができるはずです。新皮質に象徴される「知」は衰えても、大脳辺縁系の象徴される「情」は残るのです。
 まず最初に私たちが患者さんの「情」に共鳴し、患者さんを喜ばせたり褒めてあげることはとても大切なことなのです。何かをする時はお願いして患者さんを安心させ、大脳辺縁系へ絶え間なくよい刺激をあたえることです。そうすればお互いにより良い笑顔の関係を築きあげることができるでしょう。


もう怖くない認知症/患者の脳に良い刺激を
藤井 昌彦(ふじい・まさひこ)
秋田県能代市生まれ。1983年弘前大学医学部卒業。山形県立河北病院などに勤務後、99年に医療法人東北医療福祉会理事長。日本老年医学会、日本認知症ケア学会に所属。東北大学医学部臨床教授も務める。