徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 山形国際ドキュメンタリー映画祭

2009年10月23日
映画の都・山形を世界に発信

 10月8日に始まった「山形国際ドキュメンタリー映画祭2009」は15日の受賞作上映で幕を下ろした。上映作品は約120本、会場に足を運んだ観客は約2万人。作品は秀作ぞろいだが、悲しいかな体は1つ。終わってみれば見逃した作品への想いを募らせるのが毎度のパターンだ。
 
痛恨の「凧」見逃し

 今回の筆頭は「凧」(ポーランド、ベアタ・ジャノヴィチ監督)。アフガンの芸術学校にドキュメンタリー制作コースが設けられ、学生たちがポーランド人作家の指導の下で映画制作に挑む。技術にこだわり予定調和の映画を作ろうとする学生たちが真のドキュメンタリーとは何かを発見するまでを追った作品だ。
 この作品の素晴らしさを教えてくれたのは日本映画監督協会賞の審査員として参加した金子修介監督。日本語字幕がなく、同時通訳のイヤホーンを使用しての鑑賞だったとか。だとすれば今後の上映は難しいと予想され、見逃したことが返す返すも残念でならない。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 山形国際ドキュメンタリー映画祭

収穫は本多猪四郎作品

 私はメイン会場の中央公民館で司会者として参加していたのでインターナショナル・コンペティションを中心に観賞していたが、「やまがたと映画」会場で朝日村出身の本多猪四郎監督の特撮以外の作品「夜間中学」「花嫁三重奏」「上役・下役・ご同役」に出会えたのが大きな収穫だった。
 日大芸術学部映画学科が制作した「夜間中学」は夜の部と昼の部の生徒が同じ机の引き出しを使って手紙をやりとりする。その心の交流が清清しくも心温まるもので、時代背景は異なるが殺伐とした今の時代に広くみて欲しい作品だった。
 
映画祭よ永遠に

 山形を舞台にした「ナオキ」が出品されるなど盛り上がりを見せた今年の映画祭だったが、山形を「YAMAGATA」として世界に知らしめているこの映画祭が長く続くことを願って止まない。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 山形国際ドキュメンタリー映画祭
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。