徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> アマルフィ 女神の報酬

2009年8月14日
世界標準のミステリー大作
 <荒井幸博のシネマつれづれ> アマルフィ 女神の報酬

 クリスマスを控えたローマ。主要8カ国首脳会議に出席する外務大臣を迎え入れる準備に日本大使館はてんてこ舞い。そんな最中、外交官の黒田康作が赴任する。
 
日本人少女誘拐事件

 赴任早々に日本人少女失踪事件が起きる。他の大使館員は本来の業務に忙殺されているため、黒田が少女の母親の通訳を命じられる。
 失踪は誘拐だった。犯人から母・紗江子にかかってきた電話に黒田が父親を名乗って出たものだから、行きがかり上、紗江子の夫として事件に深く関わっていく。テロが頻発するイタリアでは誘拐犯との身代金取引は違法。ところが黒田と紗江子は敢えて犯人との身代金取引に応じる——。

 <荒井幸博のシネマつれづれ> アマルフィ 女神の報酬

全編イタリアロケ!

 フジテレビ開局50周年記念作品として全編イタリアロケという日本映画では初の試みを敢行。現地人スタッフ・キャストも多く関わる中、文化の違いや様々な制約を乗り越えて完成させた西谷弘監督の手腕は評価されていいのではないか。
 「ローマの休日」でおなじみのスペイン広場をはじめ、カピトリーニ美術館、コロッセオ、そして地中海沿岸の小さな港町アマルフィ。すべてが歴史的文化財のような建物・風景がさり気なくサスペンスに引き込んでくれる。

 <荒井幸博のシネマつれづれ> アマルフィ 女神の報酬

織田裕二の意気込み

 主人公の黒田を演じるのは織田裕二。20代前半で「東京ラブストーリー」の永尾完治という当たり役に出会い、吉田栄作、加勢大周とともに「平成(トレンディ)御三家」と脚光を浴びた。
 だがアイドル的に扱われるのを潔しとせず、三谷幸喜作品「振り返れば奴がいる」でアウトロー医師を演じて俳優としての幅を示す。そして「踊る大捜査線」の青島俊作役でドラマ・映画界のトップランナーの一人になる。今回の黒田役の迫真の演技からは、織田が40代になってからの代名詞とするべく取り組んだ意気込みが伝わってくる。
 
イタリアに行きたくなる

 原作は実力派ミステリー作家の真保裕一の書き下ろしで、脚本も担当。天海祐希がやや颯爽(さっそう)とし過ぎていたり、脇役の人物像をもう少し掘り下げて欲しいといった若干の不満も残るが、それでもイタリア観光したくなること請け合いのサスペンス・エンターティメント作品に仕上がっている。


 <荒井幸博のシネマつれづれ> アマルフィ 女神の報酬
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。