徹底して山形に密着したフリーペーパー

母介護の9年の記録を出版 志田 紀子 さん

2009年5月22日
志田紀子(しだ・のりこ) 1936年(昭和11年)寒河江市生まれ。59年、山形大学教育学部を卒業して小学校教諭に。97年に母親の千代さんが脳梗塞で倒れたため仕事を辞めて介護に専念。2005年に千代さんが亡くなるまでの9年間を在宅介護に捧げた。このほど、その日々を綴った「みやこわすれ」を自費出版。
母介護の9年の記録を出版 志田 紀子 さん

穏やかに長く生きて
  それだけを願いました——

——自費出版された経緯を教えて下さい。
 
毎日メモを積み重ね

 「母を介護する生活の中で、ちゃんとしたケアをするには1日の出来事や症状を記録しておく必要があって、それらをこと細かにメモの形で残してました。それこそ他人に読んでもらうなんて夢にも思わずに」
 「4年前に母が亡くなり、その直後はちょっとした脱力感や虚無感に襲われましたが、落ち着いたころ家族から『せっかく記録してたんだから』って背中を押されて」
 「1年ほどかけてメモを本の形にまとめましたが、なかなか言葉や表現が見つからなくて(笑)。本のタイトルは裏庭で母と眺めた花の名前から取りました」
 ——重いテーマの本ですけど、淡々とつづられてて、不思議に読後感は「爽やか」でした。
 
「普通のことしただけ」

 「私はただ普通のことをしただけ。教員をしていたので2人の子どもの世話は母に任せっきりで、私も助けられたし、子どもはおばあちゃんっ子で育ちました。そんな母が倒れたら支えるのは自然な成り行きでした」
 「母の要介護度は最も深刻な『5』でしたが、私はただ純粋に母に穏やかな気持ちで長生きしてもらいたかった。介護というと『ツラい』『大変』っていうイメージですけど、私は母とともに生きるのが運命だと自然に受け入れました」
——この本を貫くテーマは「介護」じゃなくて「家族愛」なんですね。
 「私はたまたま在宅で介護できる境遇にいましたが、在宅介護が一番いいなんて主張するつもりはありません。それぞれに合った介護の形があるはずだと思う」
 
2日間で“売り切れ”

——問題なのはこの本、“売り切れ”なんですよね(苦笑)。
 「身内や知人、お世話になった人に読んでもらおうと100部刷りましたが、地元紙に紹介されたおかげで『ぜひ欲しい』という電話が殺到し、無料で差し上げることにしたら2日でなくなってしまいました(笑)」
 「お声の感じから電話をくださった方の大半が介護の真っ最中だったり、過去に介護の経験がある方のようでした。電話口で『ご苦労さまでした』『大変だったでしょう』なんてお言葉も頂戴しました」

潜在読者は10万人?

——この本なら山形だけで10万人以上の読者がいると思いますよ。
 「そうなんでしょうかねえ」