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<荒井幸博のシネマつれづれ> 「ワルキューレ」

2009年3月27日
最後のヒトラー暗殺計画
<荒井幸博のシネマつれづれ> 「ワルキューレ」

 第2次大戦中のドイツが舞台。主人公はヒトラー暗殺を企てた実在の人物、シュタウフェンベルク陸軍大佐だ。
  ナチスに否定的だった彼は連合国軍の爆撃で瀕死の重傷を負うが、それでもなお政府転覆の望みを捨てず、ナチス排除の計画を練る。ヒトラー暗殺だけではナチスは根絶できないと、側近の宣伝相ゲッペルスや親衛隊長ヒムラーも殲滅するため「ワルキューレ作戦」を逆手に取ろうとする。

ワーグナーの同名歌劇

 ワルキューレ作戦とは、ヒトラーが信望する作曲家ワーグナーの代表的歌劇「ワルキューレ」にちなんで名づけた危機管理オペレーション。ヒトラーに不測の事態が生じた時、クーデターを防ぐためにベルリンの数千名からなる予備軍に発動令が下るというものだ。
 これを逆手に取るというのは、ヒトラーを暗殺し、それを側近の仕業として逮捕して「ワルキューレ作戦」を発動することを狙ったわけだ。その成否は——。

ナチスの大量虐殺

 ナチスはホロコーストで600万人のユダヤ人を虐殺したとされるが、虐殺されたのはユダヤ人にとどまらず共産主義者、ジプシーの「シンティ・ロマ人」、同性愛者なども加えると1000万人超に及ぶという。
 巧みで力強い演説により9割以上の国民の支持を集めていたヒトラー。だがドイツ軍の中にも反ヒトラー、反ナチスがいたこと、ヒトラー暗殺計画が40回超も企てられ、このシュタウフェンベルクの計画が最後だったという事実にも驚く。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「ワルキューレ」

トム・クルーズがハマリ役

 シュタウフェンベルクを演じたのは、「トップガン」以来23年間映画界のトップを走り続けるトム・クルーズ。揺るがぬ信念と勇気をもってナチス転覆を図った青年将校役はまさにハマリ役といえる。
 ワーグナーの名曲「ワルキューレの騎行」を印象的に使った作品といえばフランシス・フォード・コッポラ監督の「地獄の黙示録」だったが、30年後に新たな一作が加わった。そういえばトム・クルーズが俳優として頭角を現したのはコッポラの「アウトサイダー」でした。