徹底して山形に密着したフリーペーパー

いけるぞ モンテ!!

2009年3月13日
 サッカーのJリーグが7日開幕し、J1初参戦のモンテディオ山形は静岡県のヤマハスタジアムでジュビロ磐田と対戦。終盤、立て続けにゴールを奪い6−2で圧勝した。歴史的一戦を専門家の目で分析してみると—。
いけるぞ モンテ!!

 モンテディオ山形の記念すべきJ1デビュー戦、あなたはどこでご覧になりましたか? 

優勝3度の磐田に圧勝

 対戦相手のジュビロ磐田は昨シーズン、J1で下から3番目の16位に終わり、J2で3位となったベガルタ仙台との「J1・J2入れ替え戦」に勝って辛うじてJ2降格を免れたチームです。
 とは言え、ゴールキーパーの川口能活選手や駒野友一選手、「ゴン中山」中山雅史選手など日本代表経験者が数多く在籍し、Jリーグ優勝を3度成し遂げた名門です。
 その一方、モンテには日本代表経験者はいませんし、昨シーズンまでJ1でプレーしたことのない選手だって大勢います。それでも、ジュビロ磐田と同じステージに立ち、対戦すれば野球かと思うようなスコアで勝ってしまうのですから、サッカーは奥が深いスポーツですね。

初ゴールは新加入のキム

 記念すべきチームのJ1初ゴールは、今季新加入のキム・ビョンスク選手でした。Jリーグでは今年から「アジア枠」を設け、これまで認められていた外国籍選手3人に加えて、アジアの国籍を持つ選手に限ってもう1人追加登録できるようになりました。キム選手はチームのアジア枠選手第1号ということになります。
 名前でお判りのように韓国出身の選手です。チームには3人のブラジル人選手のためにポルトガル語の通訳が付いていますが、韓国語の通訳はいません。昨年までポルトガルリーグでプレーしていたためブラジル人選手とは多少会話ができるようですが、日本語は1から覚えているところです。
 それでも持ち前の努力とチームメイトの支えで、かなりの日本語をマスターしていますよ。キム選手のプレーを近くで見ていると、ボールを要求する「くれ!」という声がよく聞こえてきます。

いけるぞ モンテ!!

ゆりかごダンス・北村

 チーム4点目を挙げたのは、そのキム選手と交代でピッチに登場した北村知隆選手でした。テレビを観た方は、ゴール直後にサポーターの元にかけより、前に突きだした両手を左右にゆらゆら揺らしていたのに気づいたことでしょう。チームの選手や関係者にお子さんが生まれた時に、そのお祝いとして踊られるゴール後のパフォーマンス「ゆりかごダンス」です。
 実は北村選手、長女「莉音(りお)」ちゃんが生まれてパパになったばかりで、チームのJ1初挑戦となった記念すべき試合で自分のゴールでゆりかごダンスを披露したというわけです。
 莉音ちゃんが生まれたのは2月17日。チームは宮崎キャンプの最中でしたが、ちょうど17日、18日と2日間の休日があり、奥さんが入院していた地元・四日市市の病院に駆けつけたところ、幸運にも出産に立ち会うことができたとか。名前は奥さんと2人で考えたそうですが、画数まで調べた奥さんがどうやら主導権を握っていたようです。

みんなで天童へ行こう

 モンテは最高の結果で初戦を飾りました。そして今度は3月14日の名古屋グランパス戦を皮切りに、天童市の「NDソフトスタジアム山 形」でホームゲームも始まります。お近くの方、時間に余裕のある方は、スタジアムに直線足を運んでみてください。モンテは歴史的なシーズンを送っていますが、迫力ある生の試合と熱気あふれるスタジアムの雰囲気を楽しめば、あなた自身がその歴史の一部になれるのです。


いけるぞ モンテ!!

佐藤 円(さとう・まどか)
1968年、山形県鶴岡市出身。県内のタウン情報誌やモンテディオ山形専門情報誌の編集者を経て、06年フリーに。現在はウェブサイト「J's GOAL」やサッカー専門紙「EL GOLAZO」等でモンテディオ山形担当ライターとして活動中。