徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「妻夫木聡くん」あれこれ

2009年1月23日
自然な流れで兼続役に
<荒井幸博のシネマつれづれ> 「妻夫木聡くん」あれこれ

さわやかさと親近感

 2009年の大河ドラマが「天地人」と発表された07年春、主人公の直江兼続役がどの俳優になるかで友人と話に花を咲かせた。郷土の英雄・兼続も全国的にみれば知名度はいまひとつ。地味な俳優だとドラマが盛り上がらない可能性もあり、私は叶わぬ願いと知りつつも「妻夫木聡が演じてくれればなあ」と口にしたものだ。
 妻夫木聡という俳優は「さわやかさ」と「親しみやすさ」で他の追随を許さない。同性ながら私も大好きで、自然に「妻夫木くん」と呼んでしまう。
 彼は2001年公開の映画「ウォーターボーイズ」でブレイクして以来、映画とテレビで活躍していたが、05年にフジテレビ系列で放映された「スローダンス」を最後にテレビを控え、映画に軸足を置いてきた。だからこそ叶わぬ願いと思ったわけだが、それだけに兼続役を彼がやると発表になった時は快哉を叫んだ。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「妻夫木聡くん」あれこれ

不思議に山形と縁

 考えてみれば、彼は意外に山形との縁が深い。出世作「ウォーターボーイズ」の矢口史靖監督はその後、置賜地方を舞台にした「スウィングガールズ」でも大ヒットを飛ばし、以来、何度も山形に足を運んでいる。07年公開のオムニバス映画「歌謡曲だよ、人生は」の第9話、矢口監督作品の「逢いたくて逢いたくて」にも彼は主演している。
 また06年に全編山形市ロケの「ユビサキから世界を」のメガホンをとった行定勲監督の作品にも「JUSTICE」「きょうのできごと」「春の雪」で主演している。
 さらに鶴岡市出身の冨樫森監督の05年の作品「鉄人28号」ではワンシーンながら風鈴売りの役で出演。山形市出身の劇作家・後藤ひろひと原作で昨年9月に公開された「パコと魔法の絵本」では、自殺願望の強い元名子役という珍しい役で出演している。
 新しいところでは今春から始動する東北芸術工科大学映像学科で教べんを執る前田哲監督の「ブタがいた教室」での青年教師役、映像学科長を務める根岸吉太郎監督の新作「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」への出演……。これだけ並べると「妻夫木くん」の兼続役は自然な流れに思えてくるから不思議だ。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「妻夫木聡くん」あれこれ

「感染列島」でも光る

 彼が主演する「感染列島」が17日から公開されている。未知のウィルスが日本全土を襲い、死者が続出する。彼が演じる青年医師が勤務する病院は野戦病院と化すが、青年医師は無力感を募らせながらも諦めず、患者を治療し、励まし続ける。絶望の中にあっても「妻夫木くん」が演じると一筋の光明が見えてくるような気がするからやはり不思議だ。