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<荒井幸博のシネマつれづれ> 「K-20 怪人二十面相・伝」

2009年1月9日
 1949年、日本であって日本でない架空都市、帝都。そこは19世紀から続く身分制度により貴族や財閥と貧民という両極で構成される社会。富裕層だけを狙って美術品や骨董品を鮮やかな手口で次々と盗んでいく怪人二十面相、通称K—20が世間を騒がせていた。
<荒井幸博のシネマつれづれ> 「K-20 怪人二十面相・伝」

正月らしい娯楽映画

乱歩の世界を再現

 サーカスの曲芸師・遠藤平吉はその驚異的身体能力を見込まれ、謎の男から名探偵・明智小五郎と財閥令嬢・羽柴葉子との婚約の儀の写真撮影を依頼される。高額な謝礼金に目がくらみ請け負った平吉は、現場でK−20として逮捕されてしまう。まんまと嵌められたようだ。
 サーカス仲間の助けで脱出した平吉は本物のK−20を捕まえようと泥棒テクニック習得に励む。明智と葉子も平吉に協力するのだったが…。
 ダークヒーロー・怪人二十面相、ヒーロー明智小五郎、小林少年が活躍する江戸川乱歩の世界をベースに劇作家・北村想が書き下ろした同名小説が原作。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「K-20 怪人二十面相・伝」

軽快な金城武

 主人公の遠藤平吉を金城武が好演。端正な顔立ち、おっとりした雰囲気からは想像できない身軽な動きに感心。
 公開中のジョン・ウー監督作品「レッド・クリフPart1」ではクールな天才軍師・諸葛孔明を演じているが、こちらはこちらでハマっていて、懐の深さに脱帽してしまう。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「K-20 怪人二十面相・伝」

松たか子がハマリ役

 明智小五郎を演じるのは怜悧な役が板についてきた仲村トオル。育ちはいいが、快活なお転婆娘、令嬢・葉子の松たか子はまさにハマリ役。平吉の泥棒修行の師匠でサーカスのからくり師役の國村隼と金城の漫才のような掛け合いが楽しい。

シリーズ化の予感も

 「ALWAYS三丁目の夕日」でCGを担当したスタッフが作る帝都の風景も見もの。監督は佐藤嗣麻子で、娯楽大作を女性監督が手がけるのは邦画界初ではないか。CGを駆使した娯楽活劇に女性監督ならではの細やかさを加え、「バットマン」「スパイダーマン」といったアメリカン・コミック・ヒーローのテイストも加えた正月映画らしい作品となり、シリーズ化の予感。もう少しテンポアップすれば言うことなし。