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<荒井幸博のシネマつれづれ> 演者・佐藤浩市「誰も守ってくれない」

2008年12月12日
 11月1日に開催された「ひがしね湯けむり映画祭」は今年で5回目。ゲストに浅丘ルリ子さんを迎え、大盛況のうちに幕を下ろすことができた。
<荒井幸博のシネマつれづれ> 演者・佐藤浩市「誰も守ってくれない」

最も輝いている男優

映画祭での出会い

 私は1回目からこの映画祭のコーディネーターを務めている。少年時代からの憧れだった浅丘ルリ子さんはもちろんだが、印象深いのは4回目の昨年のゲスト佐藤浩市さん。今の日本映画界で最も輝いている俳優ではないだろうか。「佐藤さんなら映画への熱い想い」を語ってくれるに違いないと確信し、お呼びした。

誠意ある姿勢に感激

 来ていただいた昨年10月は今年6月に公開され大ヒットした主演作「ザ・マジック・アワー」の撮影が終わった直後で、「次郎長三国志」の撮影に入る直前。またNHKでは主演する木曜時代劇「風の果て」(藤沢周平原作)放送中だった。
 そんな超多忙の中を駆けつけてくれ、映画における演者(佐藤さんはこう表現)としての自分の在り様や、尊敬する映画人への熱い想いを真摯(しんし)に語り、今後のいっそうの活躍に期待を抱かせてくれた。

配役に変貌自在

 期待通り「ザ・マジック・アワー」では主役の売れない俳優に扮し、笑わせ、ホロりとさせてくれ、敵役を演じた「次郎長三国志」では主演の中井貴一を光らせた。臓器移植を目的としたタイの幼児売春や人身売買という難しいテーマに盟友・阪本順治監督が取り組んだ「闇の子供たち」ではシリアスな演技を見せた。
 そして来年1月17日公開の妻夫木聡主演「感染列島」では、献身的な治療をしながら自身も感染して亡くなってしまう医師役で友情出演。「ザ・マジック・アワー」で共演した妻夫木を盛り立てている。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 演者・佐藤浩市「誰も守ってくれない」

最新作、演者の面目躍如

 この人は、よほど映画とその現場が好きなのだろう。その佐藤さんが俳優としてのチカラを余すことなく発揮しているのが来年1月24日公開の「誰も守ってくれない」(君塚良一監督)。

 佐藤さんが演じるのは殺人容疑者の15歳の妹(志田未来)をマスコミや世間の目から守ろうとする刑事役。彼にはこの少女と同じ年ごろの娘がいるが、家庭は崩壊しつつあった。また、過去のある事件によって心に深い傷を負っているのだが、マスコミは二人を容赦なく追いかけ、糾弾する。そして、インターネットの掲示板も暴走を始める——。

 「社会派ヒューマンエンターティメント」と謳(うた)っている本作は“演者”佐藤浩市の存在なくしては成り立たなかった作品。

 活目して待て!