相続の基礎知識/(47)空き家特例
3000万円まで控除
空き家を相続した人の大半は売却を考えるでしょう。その場合、譲渡所得が発生して本来なら課税対象になりますが、一定の要件を満たしていれば譲渡所得から3000万円が控除されます(空き家特例)。
譲渡所得は物件の取得費や、売却するための仲介手数料などを差し引いて計算しますが、空き家の多くは取得金額が不明で、売却額の大部分が譲渡所得とみなされがちです。そうした時に、この空き家特例は有効といえるでしょう。

幾つかの要件が
一定の要件とは、(1)1981年5月31日以前に建てられた家屋であること(2)相続開始の日から3年目の12月31日までに売却すること(3)親族への売却でないこと(4)売却額は1億円以下であること⑤相続開始後に居住していたり他人に賃貸していないこと――などです。
27年度末まで延長
もともと空き家特例は2023年12月31日までの時限立法でしたが、空き家問題の深刻化から23年度の税制改正で27年12月31日までに延長されました。
また改正前は、譲渡する家屋は耐震基準を満たすことや譲渡までに解体する(つまり更地にする)ことが要件でした。
それでは相続人の負担が大きいとの理由から、改正後は譲渡日から譲渡年の翌年2月15日までに耐震基準を満たしていれば、または解体すれば特例が受けられることになりました。
譲渡日以降に購入者側での耐震基準の適合工事や、解体を行った場合でも要件を満たしていれば3000万円の控除が可能ということになります。
専門家に相談を
要件にはまだいくつか細かな点もあり、制度をご検討の方は一度、専門家に相談されることをお勧めします。


鈴木僚税理士事務所
税理士 鈴木 僚
●(すずき・りょう)1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。