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真理子先生の女性のミカタ/子宮筋腫

2023年11月10日
 子宮筋腫(きんしゅ)は、子宮に良性腫瘍(しゅよう)ができる病気です。原因は不明ですが、女性ホルモンの影響で成長します。

場所により3タイプ

 子宮筋腫は発生場所により3タイプに大別されます。子宮の中が「筋層内筋腫」、子宮の外側が「漿膜下(しょうまくか)筋腫」、子宮の内側が「粘膜下筋腫」です。
 症状は頻尿(ひんにょう)、下腹痛や月経痛などで、特に筋層内筋腫は月経量が増える傾向にあり、重症貧血になりがちです。
 閉経後は筋腫も縮小して月経の不調もなくなる場合が多く、無症状で巨大でないなら、そのまま経過観察で大丈夫なこともあります。

真理子先生の女性のミカタ/子宮筋腫

月経を止める薬物療法

 症状が深刻な場合は治療も必要になります。薬物療法は原則、月経を止めることが目的です。
 選択肢の1つは、閉経後に女性ホルモンが減少すると筋腫が縮小することに着目した「偽閉経療法」で、半年限定で可能です。
 もう1つの選択肢は「偽妊娠療法」です。ただ月経を止めて症状は和らぎますが、筋腫は小さくはなりません。この2つを組み合わせて閉経まで手術を避ける「逃げ込み療法」もあります。

根治目指すなら手術

 根本的解決を目指すなら手術ということになります。どんな手術になるかは筋腫の大きさや症状にもよるでしょう。子宮を摘出する手術、妊娠を希望する場合は可能なら「子宮筋腫核出術」といって子宮を温存する手術などがあります。

まれに悪性の場合も

 子宮腫瘍はまれに悪性の子宮肉腫(にくしゅ)という場合もあります。見た目では子宮筋腫と区別しにくいのですが、悪性なので急激に増大します。子宮筋腫と指摘された時は、腫瘍の大きさの変化を複数回しっかり確認してもらうようにしましょう。


真理子先生の女性のミカタ/子宮筋腫
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真理子レディースクリニック 院長
伊藤真理子
(いとう・まりこ) 1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。