相続の基礎知識/(46)遺言の効力と撤回
遺言能力なければ無効
せっかく遺言を準備したとしても、書き方に不備がある場合や、「遺言能力がない」とみなされる場合などは無効になってしまいます。
書き方の注意点ですが、自筆証書遺言は原則として自分で全文、日付、名前を書いて押印しなければなりません。
遺言能力がないとみなされるのは、満15歳に満たない場合や、遺言の内容と結果が理解できないと思われる場合です。
判断が難しいのが遺言者が認知症を患っているケースですが、認知症が初期の段階なら有効とされることがあるほか、成年被後見人であっても一定の要件下であれば遺言が有効とされることがあります。

撤回は何度でも可
遺言は、遺言者の生存中に何度でも撤回することができます。ただ撤回する時は、新たな遺言を作成するやり方が一般的で、これを「撤回遺言」といいます。
旧遺言と新遺言の方式が別であっても問題はありません。例えば、以前の方式が自筆証書遺言だったとして、新しい方式が公正証書遺言でもOKです。
やり方もいろいろ
撤回遺言とは別のやり方として、次の場合は遺言(2)遺言内容と生前処分が抵触する場合(3)遺言者が故意に遺言書や遺贈目的物を破棄した場合です。
なお、いったん撤回された旧遺言は原則として復活することはありません。
専門家に相談を
遺言の効力と撤回については判断基準がやや不明確なところもあり、相続に向けて遺言を準備しようとお考えの方は専門家に相談されることをお勧めします。


遠藤直樹法律事務所
弁護士 遠藤 直樹
●(えんどう・なおき) 1985年(昭和60年)山形市生まれ。2014年に司法修習修了。趣味は釣り。山形県弁護士会所属。