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《セピア色の風景帖》第164回 長谷堂の風穴(山形市)

2022年10月28日
 文化財や名勝旧跡は大切に保存されて当然と思われがちだが、区画整理や道路拡張などの計画範囲に入ってしまうと開発優先の判断がなされ、実際に多くの貴重な物件が消え去っている。
《セピア色の風景帖》第164回 長谷堂の風穴(山形市)

 圃場整理で行き場のなくなった野仏が採石業者のヤードに並べられているのを置賜地区で見かけたことがある。聞けば砕石にするという。
 「保護するべきではないか」と尋ねたが、よほどのものでない限り、こういう処分は普通に行われているとのことで、昨今の石碑や野仏の減少の理由がうかがい知れた。
 一部に天然記念物に指定されている鍾乳洞なども、採掘業者にとっては事業の妨げでしかないらしく、作業中に発見しても調査が入る前に発破をかけてしまう例もあるという。

 県内には鍾乳洞はないものの、各地に風穴と呼ばれるものは存在する。
 その一つで比較的大規模だった通称「長谷堂の風穴」は由緒ある名勝で、夏は冷風が噴き出して地域の人の避暑地として知られたが、周辺が採石場になってしまったことで昭和50年代に山ごと破壊され、姿を消してしまった。(F)