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《セピア色の風景帖》第163回 長谷川製糸工場(高畠町):下

2022年9月23日
 往時の長谷川製糸工場は、2014年に世界遺産に登録された群馬県の富岡製糸場に匹敵する偉容を誇っていた。
《セピア色の風景帖》第163回 長谷川製糸工場(高畠町):下

 シンボル的存在だった煙突は高さ38メートル。撮影時にはボイラーとボイラー室は撤去され、煙突も6メートルほど切りつめられていたらしい。周辺は現在はコンビニとして使われている。
 繭を保存するため2つ並んでいた巨大な蔵はそれぞれ東蔵、西蔵と呼ばれていたが、西蔵は姿を消し、並び立つ姿を見ることはできなくなった。
 工場が建つ以前は伊達家支配当時の城跡だったようで、当時の門や堀跡は今も残る。
 その歴史的な景観は映画のロケ地としても重用され、1979年に公開された大竹しのぶ、三國連太郎らが出演した「あゝ野麦峠」にもその姿が記録されている。

《セピア色の風景帖》第163回 長谷川製糸工場(高畠町):下

 現在の目で見れば貴重な文化財であった長谷川製糸工場であるが、財政的な裏付けはなかったのであろう。富岡製糸場のような手厚い保護を受けることはできず、一部を除き廃墟として処理されてしまった。残念なことである。(F)