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<荒井幸博のシネマつれづれ> 「ハッピーフライト」 「私は貝になりたい」

2008年11月14日
 15日から公開の「ハッピーフライト」は航空会社の内側が垣間(かいま)見えて楽しい。
<荒井幸博のシネマつれづれ> 「ハッピーフライト」 「私は貝になりたい」

俳優の振り幅 楽しむ

航空会社の内側は?

 飛行機の中には機長、副操縦士、チーフパーサー、キャビンアテンダント、そして乗客がいる。飛行機の整備士や安全な運航を確保するための管制官、乗客が搭乗する際の手続きをするグランドマネージャーなんて職員もいる。これらスタッフの奮闘努力が時にコミカルに描かれる。
 
綾瀬はるかが好演

 新人キャビンアテンダントを演じた綾瀬はるかのおっとりした明るさは「地」ではないかと思わせるが、公開中の「ICHI 市」で演じた盲目の女座頭市のクールな無表情と切れのいい殺陣を見ると、この女優の振り幅の広さに感心する。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「ハッピーフライト」 「私は貝になりたい」

「陰」が光る中居正広

 振り幅と言えば、50年前にフランキー堺の主演でドラマ化され、映画にもなった名作のリメイク「私は貝になりたい」で主人公を演じた中居正広も見事。  
  足が不自由ながら苦労の末に妻と2人で理髪店を開業、子宝にも恵まれ、ささやかながら人並みに幸せな生活が送れるようになった矢先に戦争に召集される。
 「上官の命令は天皇陛下の命令」という理不尽な軍隊生活で、いじめのようなしごきを受けたあげく、捕虜の米兵を刺し殺せという命令を受ける。このことにより、戦後、復員して家庭生活に戻った矢先、GHQに逮捕され戦犯として裁かれることに……。
 
戦争の理不尽さを痛感

 後半での中居の鬼気迫る表情の凄みは、幸せや希望を奪い去り、踏みにじる戦争というものを理解させるに充分な説得力があった。SMAPメンバーとしてバラエティ番組で見せる「軽み」とは対極にあるものだった。
 こんな風に、俳優の振り幅を楽しんで観るのも一興です。