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医学のうんちく/精子形成の適温

2022年8月12日
 精子が作られなくなる精巣の温度とメカニズムが、大学共同利用機関の基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)が行った研究で明らかになりました。

基礎生物学研が解明

 精子の形成は①体細胞分裂を行う精母細胞②減数分裂を行う精原細胞③精子へと形を変える精子細胞――の3段階に大別されます。
 同研究所がマウス精巣を体外培養し、3段階ごとに温度感受性を調べたところ、37~38度で減数分裂の進行障害、36~37度で減数分裂の完了の障害、35~36度で精子細胞の成熟障害が認められ、40度では細胞死により生殖細胞が全く認められなくなりました。

医学のうんちく/精子形成の適温

わずか1度の違いで

 わずか1度の違いで精子形成に障害が出ることが初めて明らかになったわけです。特に減数分裂は34度で正常に進行しましたが、37~38度では異常な染色体が認められました。異常な細胞は監視して排除するメカニズムにより細胞死を起こしていました。

暑さに弱い精巣

 もっとも、同調査内容は5月26日に公表されましたが、哺乳類が精子形成能力を維持するため精巣が体温より2~6度低い陰嚢にあるというのはかねて指摘されているところではありました。溶鉱炉のそばや真夏の炎天下にさらされる環境などには注意が必要です。実際、陶器工場で働く男性に不妊が多いことも報告されています。

下着の種類も影響?

 下着の種類に注目した研究もあります。米ハーバード大の研究チームは2018年、トランクス型を着用する男性はブリーフ型、ビキニ型など非トランクス型を着用する男性に比べ精子濃度が25%高く、総精子数が17%高いほか、運動精子の割合も上回っていたことを報告しています。
 締め付けが強い非トランクス型は、精巣温度の上昇や血行障害の影響もあるとしています。


医学のうんちく/精子形成の適温
20220610
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。