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相続の基礎知識/(20)相続と失踪宣言

2022年7月22日
 相続は被相続人が亡くなることで開始されます。では、被相続人が長期間行方不明になっている場合や、船舶事故や災害などに巻き込まれて生死不明になっている場合の相続はどうなるのでしょうか?

被相続人が行方不明なら

 通常、人が亡くなると戸籍法に基づき死亡届を提出しますが、遺体が見つからない場合は相続手続きや保険金の受け取りなどで不都合が生じかねません。
 そこで民法では、不在者が一定期間生死不明になっている場合に、家族など利害関係者が家庭裁判所に失踪宣告の申し立てを行う「失踪宣告制度」を設けています。
 家裁が失踪宣告をすると不在者は法律上「死亡」したとみなされ、そこでようやく相続が開始できることになります。

相続の基礎知識/(20)相続と失踪宣言

普通失踪と特別失踪

 失踪宣告は2つに分かれます。ひとつは不在者を最後に見かけた時から生死が7年以上経過しても分からない「普通失踪」、もうひとつは事故や災害など死亡の確率が高い危機に遭遇した「特別失踪」です。
 特別失踪の場合、その危難が去ったあと生死が1年間明らかではない場合に「死亡」とみなされます。

注意点もあります

 ここで注意が必要なのは、普通失踪は「7年の期間が満了した時」を死亡した日とみなすのに対し、特別失踪では危難に選遇した1年後ではなく「危難が去った時」に死亡したとみなされるというところです。

詳細は家裁や専門家まで

 先の東日本大震災の被災地では、不在者の相続のために失踪宣告制度を利用した震災遺族が多かったとされています。
 4月23日に26人の死者・行方不明者を出した知床半島沖での小型観光船沈没事故も記憶に新しいところです。
 失踪宣言制度の詳細はお近くの家裁や弁護士などの専門家にお問い合わせください。


相続の基礎知識/(20)相続と失踪宣言
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遠藤直樹法律事務所
弁護士 遠藤 直樹

(えんどう・なおき) 1985年(昭和60年)山形市生まれ。2014年に司法修習修了。趣味は釣り。山形県弁護士会所属。