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相続の基礎知識/(19)遺言書と税

2022年7月8日
遺言書は後世に残す本人の意思であり、尊重すべきものですが、相続税が発生するような場合は税金のことも検討すべきでしょう。

「1人にすべて」は?

 例えば「財産はすべて妻に相続させる」という遺言書を残し、その通りに遺産分割されたとしましょう。その場合、相続税は「配偶者の税額軽減」により1億6000万円まで非課税ですが、妻が亡くなった場合は妻が相続した財産が再度相続財産になり、まるまる課税されてしまいます。
 また相続人が複数いる場合、遺言書に「1人だけにすべての財産を相続させる」と記載することも可能ですが、他の相続人から「遺留分」の減殺請求をされる可能性があります。

遺留分に注意

 遺留分とは、法律で認められている最低限の相続分のことで、基本的には一定の範囲の相続人(配偶者、子、直系尊属)に相続財産の一定割合(法定相続分の2分の1、相続人が直系尊属だけの場合は3分の1)が保障されています。

相続の基礎知識/(19)遺言書と税

不動産が課税対象に

 この遺留分は金銭で精算できるようになりましたが、相続財産が土地、家屋などの不動産が中心で金銭が少ないというケースもあるでしょう。そんな場合は遺留分相当の不動産で精算することになりますが、ここに落とし穴があります。
 税法的には不動産を遺留分相当額で譲渡したことになり、譲渡所得税・住民税が発生してしまうのです。

作成には細心の注意を

 これらを踏まえると遺言書の作成にも細心の注意が必要です。遺留分の精算が不動産などの現物になりそうな場合は、遺留分を侵害しないような内容にしたり、遺産分割協議での遺産分割に切り替えるなど生前の段取りが重要になります。
 後々のことを考え、遺言書の作成には慎重を期すことを心がけましょう。


相続の基礎知識/(19)遺言書と税
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鈴木僚税理士事務所
税理士 鈴木 僚

(すずき・りょう)1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。