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医学のうんちく/Y染色体の危機(上)

2022年6月24日
 生物の性別を決めるのが性染色体です。

XXは女 XYは男

 性染色体にはX染色体とY染色体があり、精子にはX染色体を持つ精子とY染色体を持つ精子がありますが、卵子にはX染色体しかありません。
 受精によりX染色体を持つ精子と卵子が合体すればXXの組み合わせで女性、Y染色体を持つ精子と卵子が合体すればXYの組み合わせで男性になります。

医学のうんちく/Y染色体の危機(上)

Y染色体が喪失?

 Y染色体にはセントロメアというくびれを境に長腕と短腕があります。
 短腕には精巣を作る性決定遺伝子(SRY)があり、精巣が作られると男性ホルモン(テストステロン)が分泌され、精巣上体、精管、精嚢が分化して外性器が男性化します。Y染色体がないと外性器は女性化します。
 そのY染色体が喪失の危機にさらされているという指摘があります。

一部哺乳類は喪失

 X染色体とY染色体はもとは同じ大きさでしたが、1本だけのY染色体はコピーミスが起きても修復が不可能なため、長い年月を経て小さくなってしまいました。人間の場合、遺伝子数はX染色体の1098に対し、Y染色体は78とされます。
 豪国立大のグレーブス教授は2002年、カモノハシとの比較研究から約100万年ごとにY染色体の遺伝子が3~6個ずつ消え、約1000万年後には消滅する可能性があると報告しました。
 すでに、モグラレミングやアメリカトゲネズミなど数種の哺乳類はY染色体を喪失しています。

遠い先の話?

 ただ、米ホワイトヘッド生物医学研究所のチームは12年、人間とアカゲザルのY染色体を比較し、両者が分岐した2500万年前より1つしか遺伝子を喪失していないことを報告し、人間におけるY染色体の消滅を否定しています。
 ちなみに現生人類が誕生して未だ20万年ほどしか経っていません。


医学のうんちく/Y染色体の危機(上)
20220610
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。