徹底して山形に密着したフリーペーパー

山形の見所再発見 文翔館のトリビア

2006年12月8日
 「光のプロムナード」に誘われて七日町通りを北に進むと、美しくライトアップされた威風堂々とした建物が目に飛び込んでくる。ご存知、山形県郷土館「文翔館」──。ただこの文翔館、山形市のシンボル的存在にもかかわらず、あまりに身近すぎて「旧県庁」ぐらいの認識しかない人も多いのでは? そこで今回の特集は「文翔館のトリビア!」
山形の見所再発見 文翔館のトリビア
ガイド
 旅慣れた人に言わせれば、観光地めぐりのポイントはガイドさんにお願いすること。文翔館に所属するボランティアガイドは総勢127人で、無料で館内を細かく案内してくれる。地元だからといって遠慮したり、知ったかぶりをしているよりは素直にお願いしてみよう。
 ちなみに(社)日本観光協会がまとめた調査によると、山形県の観光ボランティアガイドの組織数は全国一位。人数では北海道(2008人)、愛知県(1942人)に次いで3位(1772人)だが、人口に占める割合で見ると山形がトップだ。
山形の見所再発見 文翔館のトリビア
大正ロマン溢れる館内でドラマ撮影

遠藤さん
 文翔館は入館も無料。この日のガイドをお願いした遠藤正夫さん(75、写真)によれば、文翔館は大正5年に県庁・県会議事堂として完成し、昭和59年に国の重要文化財の指定を受けた。昭和61年から10年の歳月をかけて復元が行われ、一般公開されるようになったのは平成7年から。
 館内には山形のあゆみを伝える資料室や復元した部屋が公開されているが、遠藤さんのお薦めが3階にある正庁。今で言う講堂に当たり、大正5年当時を忠実に再現した荘厳なたたずまい。
 このため各種撮影の舞台にひっぱりだこで、松嶋奈々子主演の「百年の物語」や、常盤貴子と竹野内豊の共演による「流転の王妃・最後の皇帝」などにも使われたという。
 「正庁や貴賓室など大正ロマンを感じさせる部屋は特に女性に人気。議事堂で結婚式を挙げたいと夢見るお嬢さんも多い」と遠藤さん。
山形の見所再発見 文翔館のトリビア
♪ 今もまだ動いてる おじいさんの時計

 文翔館のシンボルといえば時計台(写真)。現在も時を刻む時計台としては札幌の時計台に次ぐ二番目の古さを誇る。9月5日に山形市を訪れた皇太子殿下が最も興味を示されたのが時計台で、しっかり写真撮影もされたという。
 この時計は「自家発電無電地阿部式親子時計」と呼ばれるもので、時計台の親時計と館内の50個の子時計が無電地で一斉に動くという当時としては世界でも画期的なシステム。大正3年に考案したのが七日町にあった阿部時計店だ。
 「90年経った今でも5日で10秒の誤差しかない」と胸を張るのは考案者の孫にあたる桝谷二郎さん(75、写真)。祖父のもとで修行を積み、現在は時計店を営む桝谷さんは5日に1度、時計台に登って巻上げ作業を引き受けている。
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高い住民の景観意識

 最後に遠藤さんが教えてくれた。「歴史では札幌の後塵を拝しても、周囲の建物に埋もれている札幌に比べ景観では山形の時計台が上。北海道からの観光客も絶賛してくれる」。
 1999年から2000年にかけ、文翔館の背後にある六日町で浮上した高層マンションの建設計画を、景観が損なわれるとの理由から修正に追い込んだ住民意識の高さは全国的にはあまり知られていない。
 東京・国立市の高層マンションの建設を巡って争われた「国立マンション訴訟」で住民側の敗訴が確定するのはその6年後、06年3月のことだ。