徹底して山形に密着したフリーペーパー

ウエノ社長 上野 隆一 氏

2008年8月22日
上野 隆一(うえの・りゅういち)1948年(昭和23年)、旧藤島町(現在の鶴岡市)生まれ。庄内農業高校、農林水産省農業者大学卒業後、家業の農業に従事。84年にコイル製造の㈲上野製作所を設立して社長、96年(株)ウエノに改組して社長に。59歳。ウエノは鶴岡市、三川町のほか中国に4カ所の生産拠点を持ち、年間売上高は30億円。県内では次の株式上場会社と目されている。
ウエノ社長 上野 隆一 氏

コイルの低コスト追求 目指すは世界No.1

——農業から製造業への転身っていうのも珍しいですね。  

農業から製造業へ

 「農家の長男坊だったから農業をやるのが当然だと思ってました。で、東京の農業系の大学を出て地元に戻って父親を手伝ってたんですが、田畑を引き継いだ時に借金もくっついてきた。3000万円ぐらいあったかなあ。当時は金利も高くて、利払いだけで1日1万円が消えていく。これはたまりませんわ(苦笑)」
 「あと、売る方には自信があったんですが、コメや野菜作っても、豚や鶏を飼ってみても、どうにもヘタ(苦笑)。結局、農業に向いてなかったんでしょうな」

最初は下請けの下請け

——・・・・・それで(苦笑)

 「これじゃイカンというわけで、農業のかたわらでリングを巻く内職のような仕事を始めました。下請けの、そのまた下請けのような仕事で、最初は自分で巻いてた」
 「そのうち近所のオジちゃん、オバちゃんを集めて巻いてもらって。そうやって人を相手にするのが楽しくなった」
 「そうこうするうちに下請けの仕事がなくなって、自立せざるを得なくなった。それで電気製品やパソコンに必ず内臓されている『トロイダルコイル』に特化するようになり、この分野では現在、国内で最大のシェアがあります。世界でも5番手ぐらいかな」

低コストにこだわり

——急成長の秘密って?

 「こだわり、ですかね。品質とか、納期とか、こだわりの対象はいくつかあるでしょうが、私はコストにこだわった。ウエノの歴史はコストダウンの歴史でもあります。今では笑い話ですが、山形刑務所や網走刑務所に製造を委託したことも。中国に進出したのもコストダウンを実現するためでした」
 「現在、取り組んでいるのがロボットによるコイル巻き。トロイダルコイルの製造は5円玉のようなリングに銅線を何重にも巻きつける作業で、機械化は不可能というのが業界常識ですが、三川町の工場では世界初という機械化に挑戦中です」
 
株式上場目指す  

——と、ここまで真面目にインタビューしてきたんですけど、ボクと上野サンって、昔からウマが合いますよね(笑)

 「ず〜と電話でね。実際に会うのは今日が初めてなんて、ホントものぐさな人だよなあ(苦笑)」

——モノづくり県、山形の威信をかけて次の上場、期待してます。

 「今、株価も安いけど、まあ頑張りますよ」