徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ>グリーンブック

2019年3月8日
人種差別をコミカルに描く

 人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人と白人の2人の男の友情を描いた実話に基づくコメディ映画。先の2019年アカデミー賞で作品、脚本、助演男優賞の3冠に輝いた作品。

<荒井幸博のシネマつれづれ>グリーンブック

 ニューヨークの高級クラブで用心棒を務めるトニー・リップはがさつで無学だが喧嘩(けんか)は強く、裏社会でもちょっとした顔だったが、クラブの改装で仕事を失うことに。
 ひょんなことから南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに用心棒兼運転手として雇われる。
 トニーは黒人への偏見を強く抱いていたが、背に腹は代えられない。南部での黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに南部諸州を巡る演奏ツアーに旅立つ2人。
 シャーリーはカーネギーホール最上階に住み、時のケネディ大統領のためにホワイトハウスで演奏するほどのセレブ。そんなシャーリーをしても黒人差別の激しい南部に行くことは危険が伴うのだった。

 当初は黒人に雇われることに不満だったトニーだが、シャーリーの演奏の素晴らしさに触れ、次第に尊敬の念を抱くようになる。シャーリーもまた無骨で無教養だが人間味あふれるトニーに親しみと厚い信頼を寄せるようになっていく。
 様々な差別を受けながらの南部での演奏ツアーもいよいよ最後の町バーミンガム。高級ホテルでの演奏会ではスタンディングオベーションを受けるが、レストランでは入店を拒否されてしまう。遂にトニーの堪忍袋の緒が切れるのだった――。
 
 正反対な2人の可笑しくも心温まるロードムービーで素直に感動したいが、一方で「トニー・リップが黒人を差別から救う救済者として誇張され過ぎ」「白人目線で描かれた表層的な映画」などと批判的な見方があることも付け加えておく。
 それらを踏まえたうえで、この映画をどう見るかはあなた次第。だから映画は面白い。


<荒井幸博のシネマつれづれ>グリーンブック
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜15時)を担当。