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<荒井幸博のシネマつれづれ>サムライマラソン

2019年2月22日
史実「安政遠足」を映画化

 原作は日本のマラソンの発祥とされ、160年以上に渡って受け継がれている史実「安政遠足(あんせいとおあし)」を題材にした土橋章宏の小説「幕末まらそん侍」。土橋は「超高速!参勤交代」(2014年)、「超高速!参勤交代 リターンズ」(16年)の脚本も手がけており、「侍が走る」ことがよほど好きなのだろう。

<荒井幸博のシネマつれづれ>サムライマラソン

 時は幕末の安政2年(1855年)。迫る欧米列強の脅威に備え藩士を鍛えるため、安中藩主・板倉勝明は15里(約58キロ)の山道を走る〝遠足〟を開催する。しかし、これが幕府への反逆とみなされ、藩士不在の城に安中藩とり潰しを狙って藩主暗殺を狙う刺客が送り込まれる。
 そうとは知らない藩士らは「優勝すればどんな願い事でも叶えられる」と期待し、老いも若きもそれぞれの想いを胸に健脚を競うのだった。

 藩に迫りくる危機をいち早く察知して奔走する主人公・唐沢甚内に佐藤健、遠足を命じる藩主・勝明はNHK朝ドラに出演中の長谷川博己、父の勝明に反発して藩を出ようとする雪姫を小松菜奈が演じる。
 このほか森山未來、染谷将太、豊川悦司、竹中直人、青木崇高、門脇麦、中川大志など現在の日本映画界を代表する豪華キャストが脇を固めている。
 メガホンを取ったのは「キャンディマン」「不滅の恋/ベートーヴェン」などのイギリス人監督バーナード・ローズ、衣裳を「乱」のワダエミが担当する

 ロケの大半は鶴岡市羽黒町川代の撮影所「スタジオセディック庄内オープンセット(OS)」で行われ、OS内の漁村エリア、農村エリア、エントランス、戦国大手門エリアが使われた。
 ローズ監督は「山の中の苔(こけ)の生えた古道や、神木となっている杉の木などを見て、この神秘的な日本の原風景の中を侍たちがさまざまなドラマを背負って駆け抜けていくのが素晴らしい」と語っている。


<荒井幸博のシネマつれづれ>サムライマラソン
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜15時)を担当。