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<荒井幸博のシネマつれづれ>赤い雪 Red Snow

2019年1月25日
撮影・山形のサスペンス

 少年失踪事件を題材に、長編初メガホンとなる甲斐さやか監督が自ら脚本を手がけたのが本作。

<荒井幸博のシネマつれづれ>赤い雪 Red Snow

 雪がしんしんと降り続く小さな村で1人の男の子が忽然と姿を消す。事件の容疑者と目された江藤早奈江(夏川結衣)の周りでは次々と謎の殺人事件が起きるが、彼女の完全黙秘により事件は迷宮入りに。当日、男の子と一緒だった兄・白川一希(永瀬正敏)は自分のせいで弟は姿を消してしまったという罪悪感を抱いたまま沈鬱な日々を過ごしていた。
 それから30年後、事件の真相を追うルポライター木立省吾(井浦新)が早奈江のひとり娘・早百合(菜葉菜)を見つけ出し、一希のもとにやってくる。
 被害者の兄と容疑者の娘、それぞれ心に傷を持つ2人が出会うことによって事件は予想外の結末に向かう――。

 一希と早百合の2人の主人公の心象を表すかのような荒涼とした風景が広がる本作の大半は、2017年2月に新庄市や大蔵村肘折温泉でロケが敢行された。
  永瀬正敏とのダブル主演を務めた菜葉菜は、山形に映画祭関係で何度も足を運ぶ等馴染み深く、ご本人も「山形は私の第二の故郷」と公言。そういう女優が映画で主演を果たすというと、親戚の娘が夢を叶えたようで実に喜ばしい。そんな菜葉菜さんに役作りについて話を伺うと「早百合は幼少期から母親に虐待を受けてきた女性。本を読み漁ったりしましたが、現場に入ったら(演じる難しさに)もがき苦しんでいました。」と語るが見事な早百合像を作り上げていた。最近では「64」「追憶」等で脇役として作品を支えるようになっていたが、本作は女優として開眼・開花した作品と言える。

 初日の2月1日に新庄市民文化会館、フォーラム東根、イオンシネマ天童、ムービーオン山形、フォーラム山形の5会場で甲斐監督、永瀬さん、菜葉菜さん、井浦さんの舞台挨拶があります。


<荒井幸博のシネマつれづれ>赤い雪 Red Snow
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜15時)を担当。