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医学のうんちく/男性用避妊薬

2019年1月11日
 避妊のための方法として、女性にはピル、基礎体温法、卵管結紮(けっさつ)、ペッサリー、リング、子宮内避妊器具など数多くありますが、男性にはコンドームとパイプカットぐらいしかありません。

数十年前から研究

 一方で男性用避妊薬の潜在需要は大きいとされ、2002年にドイツで行われた調査では世界9カ国の男性9000人のうち55%以上が「避妊薬が開発されれば使ってみたい」と回答しています。また別の調査では、開発された場合の市場規模は3兆6000億円超とみられています。
 そのため数十年前から男性用避妊薬の研究開発が進められていますが、未だ実現していません。

医学のうんちく/男性用避妊薬

副作用が支障に

 ドイツのマルティン・ルター大学を中心とした研究チームは16年、18~45歳の男性320人に男性ホルモンのテストステロンとプロゲステロンを8週ごとに筋肉注射し、274人の精子数が減少したことを報告しています。
 ただ妊娠率は100人当たり1・57人と既存の避妊法と同程度でしたが、副作用としてにきび、注射部位の疼痛(とうつう)、性欲亢進(こうしん)、気分障害などが認められました。

登場は近い?

 米ワシントン大学の研究チームは18年、18~50歳の男性83人にテストステロンとプロゲステロンを組み合わせたホルモン製剤を1日1回28日間経口投与したところ、精子形成に必要な2種類の性腺刺激ホルモンの産生が抑制されることを報告しました。
 また米ノースカロライナ大学の研究チームは同年、サルを用いた動物実験で精子の動きを抑制し、受精の確率を激減させる有機化合物を発表しています。

朗報を待ちましょう

 新薬の登場が待たれますが、「あと数年」といわれ続けてはや数十年。焦らず気長に朗報を待ちましょう。


医学のうんちく/男性用避妊薬
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次 (ささがわ・いそじ)
プロフィール
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。