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《セピア色の風景帖》 第123回 古屋敷地区

2018年11月9日
 山形国際ドキュメンタリー映画祭の生みの親とされる故・小川紳介監督の「ニッポン国古屋敷村」(1982年)で一躍有名になったのが上山市古屋敷地区である。同作品はベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したことでも知られる。
 だが現在、雪深いこの地区に並ぶ茅葺き屋根の古民家は崩壊の一途をたどっている。
《セピア色の風景帖》 第123回 古屋敷地区

 昭和末期に上山の有力旅館がこの地区の観光化に乗り出したこともあった。民具資料館や詩人・真壁仁の記念館、飲食店などが整備され、旅館の宿泊客を集めるにぎわいの場になった。
 しかし、豪雪が古民家に与えるダメージは予想以上のものだった。「古屋敷の保存を考える会」も組織されたが、多大な経費と人手がかかる古民家の維持は難しく、現在は回復不能な状態になっている家屋が多数になってしまっている。
 一足先に放棄された付近の萱平地区の民家はほぼ屋根の抜けたアバラ屋と化しており、古屋敷の家屋の多くも遠くない将来、同じ姿になるのであろう。

 数少ないながらも民家の維持に努め、居住している方々にはそのご苦労を察したうえで、次の時代にも古屋敷の名を残していただければと思う。 (F)