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<荒井幸博のシネマつれづれ> 「カメラを止めるな!」「検察側の罪人」

2018年8月24日
いま話題の2作品
<荒井幸博のシネマつれづれ> 「カメラを止めるな!」「検察側の罪人」

 監督・俳優養成スクール「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾、製作費300万円、上田慎一郎監督で制作した「カメラを止めるな!」の勢いが止まらない。6月23日に東京2館で公開されるや否や口コミ・SNSでその面白さが拡散され、8月16日までの動員は40万人を突破。累計上映館数は全国190館を超える。

 物語は、ゾンビ映画の撮影中、怯えるヒロインを長時間にわたってカメラが追う。そんな現場に本物のゾンビが現れたから、さあ大変。
 恐怖に泣き叫ぶヒロインの表情に監督は「これだ!いいよ、いいよ!」とカメラを回し続ける。“ネタバレ”になるので詳しくは紹介できないが、ゾンビ映画でありながら抱腹絶倒、感動のファミリー映画の要素も含む極上のエンターテインメント作品に仕上がっている。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 「カメラを止めるな!」「検察側の罪人」

 「カメラを止めるな!」が無名の監督がオリジナル脚本、無名の俳優で制作したのに対し、「検察側の罪人」は木村拓哉、二宮和也を並べ、「クライマーズ・ハイ」「日本のいちばん長い日」「関ケ原」の原田眞人監督がメガホンをとり、配給は東宝というメジャー作品。
 木村が東京地検のエリート検事(最上)、二宮が教え子の若手検事(沖野)という設定。最上を尊敬する沖野だったが、ある事件が2人の関係を根底から覆してしまうことになる。 「時効」「償い」「復讐」「正義」―。2人の検事の対立を通して深く考えさせられる作品。
 二宮がしたたかな闇のブローカー役・松重豊と酒向芳演じる異様な被疑者に取り調べをする場面に俳優としてのスキルの高さを感じる。木村と二宮の火花散るやり取りは、そもそもの2人のバックグランドを重ね合わせても見応え充分。

 「カメラを止めるな!」「検察側の罪人」は作品にかけるスタッフ・キャストの熱は通底している。これだから映画はオモシロい!


<荒井幸博のシネマつれづれ> 「カメラを止めるな!」「検察側の罪人」
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。