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<荒井幸博のシネマつれづれ> 空飛ぶタイヤ

2018年6月8日
内部告発の困難さ問う

 6月15日公開の「空飛ぶタイヤ」は2002年に実際に起きた「三菱自動車リコール隠し事件」をヒントに、「半沢直樹」「下町ロケット」「陸王」で知られる池井戸潤の同名小説を映画化した作品。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 空飛ぶタイヤ

 トラックの脱輪事故が発生し、跳ね上がった巨大なタイヤが1人の命を奪ってしまう。事故を起こしたのは赤松徳郎(長瀬智也)が社長を務める零細運送会社だった。
 警察から執拗(しつよう)な追及を受け、世間からもバッシングにさらされる赤松だったが、担当整備士の克明な業務日誌を目にした結果、事故原因は自社の整備不良ではなく、トラックの構造自体に欠陥があることに気づく。  赤松はトラックの製造元・ホープ自動車に再調査を要求するが、納得のいく回答は得られない。業を煮やして独自調査に乗り出した赤松がつかんだ事故の真相は――。

 ホープ自動車の次期社長を狙い、会社ぐるみの事実隠蔽(いんぺい)を指揮する常務を岸部一徳、再三にわたる赤松の訪問を疎(うと)ましく思いながらも調査を進め、隠蔽されてきた事実に突き当たるホープ自動車の課長をディーン・フジオカが好演している。
 また系列のホープ自動車をあくまで擁護しようとする自行の姿勢に疑問を抱くホープ銀行員を高橋一生、真実を追求しようとするも圧力に屈する雑誌記者を小池栄子が演じる。
 このほか深田恭子、ムロツヨシ、中村蒼、柄本明、佐々木蔵之介、寺脇康文ら実力派が豪華に顔をそろえる。
 メガホンを取ったのは「釣りバカ日誌」シリーズや「超高速!参勤交代」シリーズなど喜劇が得意の本木克英監督で、本作では社会派感動作を手堅く演出している。主題歌は6月25日でデビュー40周年を迎えるサザンオールスターズ「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」

 「森友・加計問題」「日大アメフト部反則タックル問題」に重ね、内部告発することの勇気・リスクなどに想いを巡らせながら観てしまった。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 空飛ぶタイヤ
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜15時)を担当。