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<荒井幸博のシネマつれづれ> ダンガル きっと、つよくなる

2018年4月27日
インド映画最高のヒット作

 実話をもとに2人の娘をレスリングの金メダリストにしようと奮闘する父親を描き、インド映画史上最高の世界興業収入を樹立した話題作。

<荒井幸博のシネマつれづれ> ダンガル きっと、つよくなる

 レスリングの全国大会で優勝経験もありながら経済的な理由で選手生活を断念したマハヴィル。道場で若手を指導しながら自分の夢を息子に託そうとするが、生まれてくるのは女の子ばかり。
 意気消沈の日々を送っていたある日、長女と次女がケンカで男の子をボコボコにしたのを知り、彼女たちを訓練してレスラーとしてデビューさせようとする。2人は反発、周囲からは笑いものにされるが、マハヴィルは意に介さない。
 目指す大会は2010年の「コモンウェルス大会」。果たして2人の姉妹は世界大会でチャンピオンになれるのか――。

 マハヴィル役はインドの国民的俳優アーミル・カーン。「きっと、うまくいく」「PK」など主演作が次々インドの興行収入記録を塗り替えてきたが、本作では52歳の彼が壮絶な肉体改造を敢行、レスリング選手の20代から50代までを演じる。
 娘役の少女期の2人、大人になってからの2人も見事なレスリングを見せる。てっきり選手経験があるのかと思いきや、未経験の女優が訓練した結果というから驚き。
 日本人ならマハヴィルと2人の娘の関係に、アニマル浜口・京子父娘を重ね合わせるだろう。長女ギータが自分の指導を無視して父親の指導に従うことに嫉妬し策謀を巡らすコーチも登場するが、こちらは先ごろ話題になった伊調馨選手を巡るパワハラ事件が想起されるはず。
 実在の人物がモデルで、ギータは伊調馨、吉田沙保里の両選手と対戦したことも。ダンガルとはレスリング、ファイター、挑戦の意味。

 笑いと感動、涙のヒューマンドラマ。エンディングテーマが流れると「ダンガル!ダンガル!」と思わず快哉を叫びたくなる。必見のインド映画の傑作だ。


<荒井幸博のシネマつれづれ> ダンガル きっと、つよくなる
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当