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本のビッグバン(上山市) オーナー 佐藤 一博さん

2018年4月13日
佐藤 一博(さとう・かずひろ) 1950年(昭和25年)、江戸期がルーツの大永建設(山形市)の7代目として山形市で生まれる。6小、6中、山形工業高を経て東京の地場ゼネコンに就職。4年後にUターン、県土木部に4年間勤務した後、77年に大永建設入社、97年に社長就任。この間、住宅建築を手がけるかたわら、87年に上山市で書籍店「本のビッグバン」の開業に携わり、事実上のオーナーを務める。同店は4月末で営業を終える予定。67歳。
本のビッグバン(上山市) オーナー 佐藤 一博さん

4月末で31年の歴史に幕
  ご愛顧ありがとうございました

――山形の建築会社の社長さんがビッグバンのオーナーだったとは…。

市場調査で上山に

 「開業当時はまだ上山にも書店が4社ほどあったし、ビッグバンを核に複数テナントを集めた『いしざきA1』が市内初の集合店舗だっただけに、周辺を刺激しないように私はあくまで黒子に徹してました(苦笑)」
 「開業の経緯?山形の老舗書店に頼まれて近郊市町村のマーケットリサーチをしてみると、上山がエアポケット、つまり成長が見込めることがが分かった。それを老舗書店に伝えましたが、余力がないと断られた。じゃあ自分でやろうかと」
 「たまたま製糸工場だった1000坪(3万3000平方メートル)の土地が更地になっていたので、地権者の方の了解をいただき開業にこぎつけたというわけです」

本業特化でサービス充実

――やってみて、どうでしたか?
 「本屋は本業に徹している限り、再販制度があるから安売り競争はないし、売れ残れば返品できるから経営リスクはさほどないんです。だから宅配や文具などの取り扱いなどはやらなかった」
 「そのかわりサービスは充実させました。コミックの立ち読み自由などが評判でしたが、ネット宅配が増える中で本屋に足を運んでくれる消費者は〝神様〟ですから」
 「意外かもしれませんが、今期を除き赤字を計上したことはありません。開業時に向こう10年の経営計画を立て、9年目までは見事にクリア。10年目だけは平成不況の影響で下回りましたが」

地域から親しまれ

――地域から親しまれてましたよね。
 「店長を含むスタッフ3人に恵まれました。結果的にビッグバンが市内の他の書店の閉店を早めたかもしれませんが、3人は上山の活字文化を支えるという矜持(きょうじ)を持ってやってくれた」
 「その3人を支えてくれたのが地域の人たち。世間話をしに立ち寄ってくれたり、旅行に行けばお土産を持ってきてくれたりで、憩(いこ)いの場にもなっていましたね」
――4月末で31年の歴史に幕を下ろします。

本離れと人口減少

 「若者を中心に情報収集ツールがネットになり、本が売れない時代になっている。それに人口の減少。特に開業時5万人だった上山の人口は今や3万人です」
 「無理すればまだ数年はやれたでしょうが、惜しまれるうちに、余力を残してやめようと」
 「ツラいと思ったことはなかったですね。もともと本を読むのは好きでしたから、この仕事に携われたことは望外の幸せでした」