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<荒井幸博のシネマつれづれ> 祈りの幕が下りる時

2018年1月26日
泣けるミステリーの傑作

 東京都葛飾区小菅のアパートで女性の絞殺死体が発見される。被害者は滋賀県在住の押谷道子。殺害現場となったアパートの住人・越川睦夫は行方不明。なぜ道子が見ず知らずの越川の部屋で殺されていたのか?

<荒井幸博のシネマつれづれ> 祈りの幕が下りる時

 事件を担当することになった警視庁捜査一課の松宮(溝端淳平)は、従兄である日本橋署の加賀恭一郎(阿部寛)の協力を仰ぎ、やがて捜査線上に女性演出家・浅居博美(松嶋菜々子)が浮かび上がる。  道子と博美は滋賀県の中学時代の同級生。かつて博美は舞台女優として一世を風靡し、今は演出家として活躍。明治座で公演中の「異聞・曽根崎心中」は博美の演出で、道子はこの舞台を観に来たのだった。

 また博美と越川の間にも接点が見出せず、捜査は難航する。そんな中、現場の遺留品から日本橋周辺の12の橋の名の書き込みがあることを発見し、加賀は激しく動揺する。それは幼かった自分と父・隆正(山﨑務)を捨て失踪した母・百合子(伊藤蘭)の謎につながっているのだった――。

 東野圭吾のベストセラー「加賀恭一郎シリーズ」が2010年に「新参者」として阿部主演でドラマ化され、主人公・加賀恭一郎は阿部のハマリ役となる。その後スペシャルドラマ2本、12年「麒麟の翼~劇場版・新参者~」の大ヒットを受け、本作は満を持してのシリーズ完結編となる。
 加賀が日本橋署に希望して移り、文字通り“新参者”として留まる理由が明らかになる。加賀の母の物語が仙台を舞台に語られ、もう一方の“父と娘の物語”も交錯し、大きな感動を呼ぶ。「泣けるミステリーの最高傑作」の謳い文句は伊達ではない。

 先日、阿部さんに話を伺ったところ、「原作を読んだら『下町ロケット』でご一緒した福澤克雄監督がふさわしいと思い、福澤さんにメガホンを取ってもらって素晴らしい作品になりました」と語ってくれた。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 祈りの幕が下りる時
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜15時)を担当。